重度の糖尿病の患者様が入院してきたとします。

 

事前学習のここが大切!

 
あなたが実習で内科病棟、糖尿病専門病棟などでこのような患者様を受け持つことになった時、一体何を事前学習しなければならないか。
 
糖尿病というのは
 

① 一体どういうメカニズムから発症する病気なのか?
② この病気にはどのような症状があるのか?
③ この症状が継続するとどのような問題が生じるのか?
④ 起こった時に患者様はどのような不快感があるのか。

 
そして、この不快感を取り除くために看護者として何ができるのか、元気で退院していただくために、どのようなことを入院期間中に助言したり指導しなければならないのか。この一連の過程が『看護過程の展開』であり、あらかじめ看護の展開を想定して必要なことを調べておくのが『事前学習』です。
 
例えば、糖尿病患者には患者指導が必要ですが、どのような指導がなされ、どのような指導が有効なのかを調べるのが大切です。
 
また、看護にはエビデンスが大切だといわれますが、事前学習でも、このエビデンスを調べることが大切です。
 
糖尿病でいえば、なぜ血糖値が高くなるのか?なぜインスリンの作用不足になるのか?なぜインスリンの感受性が低下したり、インスリン分泌が低下するのか?ということです。疾患についてエビデンスを理解しておくと後の看護展開に有効です。『病態関連図』はここを理解するために必要なものです。
 

 

病態関連図が難しい?

 
例えば、関連図を参考書の丸写しで指導者に提出したとします。すると『典型例を見て書いたんですけど、臨床指導者の方に、駄目だしされて書き直すように指導されました』と私のところに相談に来るのです。
 
ここで私は『病態関連図を参考にするのは良いが、書き写すな』とよくいいます。なぜなら参考書に出ているのは一般的な事例ではありますが、目の前の患者様とは異なるからです。受け持ちの患者様は糖尿病だけでなく、高脂血症や高血圧症も合併しているかもしれませんし、性別、年齢も様々です。
 
関連図にはその内容をできる限り反映させる必要がありますが、参考書の丸写しではそこができないのです。関連図が難しいという人の中にはこういったケースが少なくありません。 
 

病態関連図の作者の患者像

 
では、患者様像を考えていきましょう。
 
48歳、体重85kg、身長165cm、妻・子ども2人の6人家族で・・・。と想定します。この患者像に沿って看護を展開していきます。

  
実際、君たちが病棟で看護している患者様というのはモデルケースではありません。具体例でいうと、サラリーマンの平均年収は400万円といわれています。一世帯当たりの所得は700万円ともいわれています。また、40歳代の夫婦の平均貯金額は1千万とか2千万円とかいう一般論があります。
 
皆さん想像してみてください。かなり裕福な家庭・・・といえると思いませんか?
私事ですが、私にはそんな貯金はありません。ということは、私に貯金がない分、誰かほかの人、例えば近所の40歳代の夫婦とかが2倍持っているということなんです。
 
いい方を変えると標準偏差では表せないというのが盲点なのです。
 
関連図の作者が想定しているのは、より多くの人に参考にしてもらえるように標準偏差の患者像です。つまりごくごく一般的なものです。一方、あなたが受け持っている患者様は一個人です。そこを理解しておく必要があります。 
 

既成の病態関連図の役割 

 
じゃあ、なぜ、病態関連図の本が販売されるのかというと『基本的な事例を参考にして、この患者様に合ったオンリーワンの看護とは何かを看護学生自身で考えてくださいね』という、ワンクッションが含まれているのです。
 
でも紙面でしか想像できない看護学生は、基本的な事例と自分の受け持ち患者様のどこが一緒でどこが違うのかがよく分からず、そのまま書き写してしまう。
 
そして、指導者に、書き写した参考書の病態関連図をそのまま提出し、駄目だしされて『病態関連図がわからなくて一番困る』という感じです。 
 

病態関連図をサクサク書くために何をすれば良いのか?

  
糖尿病を考えてみましょう。糖尿病は、高血糖になって血糖値が下がらない病気だといわれています。
 

①じゃあ、血糖値が下がらないのはなぜでしょうか?

簡単にいうとインスリンホルモンが通常どおりにはたらいていないのです。インスリンがきっちりはたらいて、細胞にブドウ糖を取り込んで燃焼すればいいのですが、インスリンが上手くはたらかないのでブドウ糖を細胞で燃焼することができないことが一点です。
 
それから、もう一点、グルコースをグリコゲンに変換して肝臓に蓄えることができない。血糖値を下げるというインスリンの効果には、この2つがあります。血糖値が下がらないのはこのようにインスリンの作用不足が原因なのです。
 

②じゃあ、インスリンが作用不足になるのはなぜでしょうか?

例えば、肥満になると糖尿病になりやすいといわれています。生活習慣として甘いものをたくさん摂っている人はインスリンの感受性が悪くなり糖尿病になりやすいといわれています。
それから、膵臓の細胞が何らかの理由で死んでしまいインスリンが出ない。
インスリンが作用不足になる原因は、インスリンに対する感受性が悪くなったり、インスリンが出なくなることです。
 

③じゃあ、なぜインスリンに対する感受性が悪くなったり、インスリンが出なくなるのでしょうか?

ここで何が大切か『膵臓の解剖=正常な膵臓とは何か?』ということです。解剖生理は病態理解の基本となる部分です。
 
疾患とは正常な身体が何らかの原因で異常をきたしている状態をいいます。正常な身体を理解していなければ、異常がわからないのです。こうなると病態も理解できないし、病態関連図も書けません。
 
まとめると、病態関連図を書くためには、まず解剖生理をおさえることです。まず正常を知った上で、異常が起こる理由をなぜなぜと繰り返すことが必要で、これを繰り返すと病態関連図がサクサク書けるはずです。
 

 
病態関連図のイメージを木にたとえると

 
病態関連図は木のイメージです。
木の幹に解剖生理があります。枝の部分に症状、葉の部分に治療・看護があります。病態や患者様の状況によって木の大きさや形、幹、枝、葉になる部分は様々ですが『なぜ?を繰り返すことで病態関連図という木を作っていくことは同じです。』
また、木の一番大事な部分は、幹です。解剖生理を理解することがその後の枝葉の広がりを左右するので、重要といえます。

 

病態生理学を効率よく学ぶ!

 
病態生理学を効率よく学ぶコツは、解剖生理を理解することが不可欠です。
糖尿病を例にとると、まず解剖の本をぺらぺらめくってみます。膵臓の部位はどこにあるのか、膵臓の大きさはどれくらいなのか、膵臓とは本来どういうはたらきがあるのかを確認します。
 
次に、生理学の教科書からインスリンの作用を確認します。インスリンは血糖値を抑える唯一のホルモンですが、血液中の糖分を細胞に取り込んでエネルギーにするはたらきや肝臓にグリコゲンとして蓄えるはたらきがあります。
 
またインスリンがはたらかなくなると、血漿浸透圧が高くなります。ここまでが解剖生理です。
 
解剖生理をふまえた上で病態生理をしてみましょう。
 
まず、細胞にエネルギーがないので身体を動かすエネルギーがない状態になります。また、血相浸透圧が高いということは、血管を傷つける原因になります。血管がもろくなくということです。これが病態生理です。
 

① 膵臓からインスリンが出る。
② インスリンが作用不足になる。
③ 血糖値が上がって血漿浸透圧が上がる。
④ 血管がもろくなる。
⑤ 細胞に糖分がいかないので、エネルギーがない。

 

 
つながりましたか?
これが病態生理です。このように解剖生理から理解を進めることで病態生理までつながっていきます。解剖生理からつなげる、これが病態生理を効率よく学ぶコツです。
 

 

病気の誘因は?

 
糖尿病に代表される生活習慣病とは長年の好ましくない生活習慣で起こるものですが、このような生活習慣病に罹患している患者様は非常に多く存在します。
 
つまり、君たちが受け持つ患者様のほとんどは生活習慣に何らかの問題があって病気になっているといえます。
 
そのため看護実習では患者様の生活に着目することが大切です。

 
糖尿病で考えると、インスリンが常にたくさん必要な状態、血糖値が常に高い状態にある人を想像します。そういう人は糖分を消費することができていない人、要するに運動不足の人といえます。運動すると糖分をおもなエネルギー源とするので、インスリンを無理に出して血糖値を下げなくてもいいのです。勝手に糖分(ブドウ糖)は消費されていくわけですから。
 
運動不足の人は、糖分が消費されない分、インスリンが出っぱなしということになります。インスリンが出っ放しになるとインスリンの効きが悪くなる。これが2型糖尿病です。
 

では、運動不足の人ってどんな人なのでしょうか。運動不足・・・という生活習慣の人を思い浮かべてみましょう。
 

私が運動不足で思い浮かべるのは『都会人と田舎の人の運動習慣の違い』についてです。

私は、生まれたところと育ったところが異なり、大阪、愛媛、沖縄、北海道と転々としてきました。
 
その中で一つ気付いたことがあります。田舎の人は車の所有率が高いということ。ちょっとしたことでも歩かないんです。すぐ車で移動してしまう。しかし、都会の人は電車移動とかバス移動などがメインなので、駅やバス停までテクテク歩きます。意外にも都会の人の方が、運動習慣があるのです。
 
私事ですが、若いときに妻と一緒に梅田の地下街を歩いたことがありました。僕からすると梅田の地下街は何キロもつながっているので歩くのが普通なんです。歩くことにも慣れていました。
一日中テクテクと歩いていたのですが、一方、妻はというと・・・。田舎生まれの田舎育ちで地下街なんてほとんど歩かない。当然、バスや電車は身近ではありませんから、移動も徒歩という概念はありません。そうすると一日歩くと『足が疲れちゃって、もう嫌』と、機嫌が悪くなるんです。都会と田舎の運動習慣の違いを痛感したエピソードでした。

 

それから、家庭での食習慣にも違いがみられます。

私は沖縄にも住んでいたことがあり、今でも、テビチ(豚足のおでん)を手作りすることがあります。手作りするっていう人は、他人のために作って食べてもらうという行動に生きがいを感じているものです。私もその一人。沢山作って沢山食べてほしいと思っているのです。
現に、テビチも圧力鍋で一度に下茹でしたほうが美味しいこともあり、余り気味に作ってしまいます。テビチのカロリーは低くはないので食べる量を加減しなくてはと思いながらも、美味しいのでついつい家族中で食べてしまう。
 
私のような考えの下で育った人は栄養過多な食習慣が想定されるでしょう。

それから、主婦は残すことを嫌うようです。買ったものを捨てるということが嫌なんです。こういった人に多いのがついつい残り物を全て完食して過食傾向になることです。
そういう家庭での食習慣の違いもみられます。
 

職業的なことも生活習慣に関係します。

皆さん、よく夜の9時以降はご飯を食べないといいますが、塾の先生やサービス業の人には無理な話です。こういった職業の人は夜の10時や11時に、やっと仕事が終わるわけです。それからご飯を食べるという人が多いと思いますが、そうなると夕食の時間は相当遅くなってしまいます。私を含めてなんですが、そういう職業の人はご飯を食べた後そのままバタンキューってことになりがちです。食っちゃあ寝えが続きます。
このように職業も生活習慣に影響を及ぼします。
 

地域性にも生活習慣の違いがみられます。 

日本には辛いものが好きな地域や甘いものが好きな地域があり、食の嗜好によって様々な地域性があります。
 
例えば、関西人は『素うどん』が好きなんです。そして関西人が好むうどんは薄味が定番です。しかし、東日本に行くと味がものすごく濃くなります。出し汁の色からして全く違っています。私が東京とか東日本に仕事に行き始めた頃は、うどんが食べられなかったんです。辛くて。北海道の言葉でいうと『しょっぱい』っていいますが。
 
地域によっても食文化に対する生活習慣が違うわけです。
 

 

糖尿病を発症すると

 
糖尿病を発症すると、どのような症状が出てくるのでしょうか。
 
例えば、三大合併症。神経障害、網膜症、腎症があります。糖尿病では、免疫力が下がり、易感染状態となります。

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