看護の展開を得意になろう!

看護実習が不安な看護学生、いろいろ考えるより実際の看護の展開をしてみます。
 

卒業生に、実在の商社マンAさんを対象に疾患関連図から看護計画までを展開していただきました。

 

まず、カルテから患者の全体像を把握する。

(表紙)

糖尿病である。高血圧、白癬症の既往がある。

(処方録)

食前に血糖測定とインスリン12単位×3回。
朝食後 アマリールを内服している。 
ニゾラールを適宜塗っている。

(フローシート)

入院してから1週間が経過している。
発熱はなく36度台を維持している。
Bp170前後/100前後㎜Hg。P70回/分前後で維持。
空腹時血糖(直食前)は300前後で維持している。
食事は糖尿病食1800kcalであり、全量摂取が続いている。
排便回数3回/日 泥状~水様便。尿は昼間に8回、夜間3回程度。
足のしびれた感覚が持続している。 

(基本情報)

体型

48歳男性。身長165㎝体重85㎏。

入院までの経過

入院時、空腹時血糖は360㎎/㎗。HbA1C(国際標準値)13%。頻尿と強い倦怠感を訴えており、仕事の合間をぬって来院し、そのままインスリンでの治療を目的に入院となった。

家族構成

妻(48歳)と息子が2人(高校生と中学生)の4人家族。妻は専業主婦である。

職業

商社に勤めていて仕事が忙しく、生活、食事は不規則になりがちである。

嗜好

5年前から禁煙しており、飲酒は週に2、3回である。

運動

駅まで約5分間の徒歩で、そこから会社まで電車で通勤している。習慣的な運動には取り組んでいない。

性格

理屈っぽく、いいたいことははっきりいうタイプ。

経過

以前、会社の健康診断で高血圧を指摘されたことがあるが放置していた。

 

(日々の記録)

面会は妻が頻回に来ている。息子たちも休みの日には顔を出している。
入院してから毎朝経済新聞を熟読している。
小型パソコンを持ってメール処理などの仕事をしている様子である。
食生活習慣や運動の指導などは真面目に聞いており、時より質問もある。
食事が少ないことや薄味なことに少し嫌気がさしてきている様子である。
左踵部がひび割れており、ワセリンを適宜塗布している。
 

講師の視点
カルテの内容から家族関係は良好で、経済的にも安定しており幸せを絵に書いたような家族の様子が思い浮かびます。
入院中でも、仕事のメールを処理していることから、会社に必要とされる人物像がうかがえます。入院生活にも慣れ、そろそろ暇を持て余している様子が推測されます。

 
このように、事実と事実から推測されることがあります。看護実習の目的は、単位を取ることだけが目的ではなく、対象者を通じて身体的・精神的・社会的に支援する基礎技術を身につけることです。

事例1 じょうずなコミュニケーションの取り方

実習の中で患者様や病棟スタッフさん、実習仲間と意思の疎通を図ることは看護実習の基本です。
まず、大切なのは、あなたが相手に関心や興味を抱くことです。事務的な態度では、患者様も身構えてしまいます。まず、世間話をしながら自分と相手の接点を探します。そうすると、共通な話題の中から疾患に関わる情報を得ることができます。 

実習初日を乗り越えるために!

各実習病棟でのオリエンテーションは、学生の緊張と不安を和らげ、限られた期間や条件の中でも効果的に実習が行えるよう配慮されています。積極的に質問しましょう。
 
<実習病棟でのオリエンテーション項目>
①    病棟の特殊性
・その科でしか経験できない看護技術や検査などが実習期間中にあれば、見学や援助実施の相談をし、実習計画にいれる。
 
②    入院患者の概要(代表的な疾患名、年齢構成など)
 
③    看護体制・看護スタッフの紹介
 
④    病棟の構造・設備
・避難経路と受け持ち患者さんの移送方法を確認する。ネームプレートの自立度を確認する。
 
⑤    物品の配置と使用方法
・日常生活援助に必要な物品の場所や片付け方法を確認しメモする。
 
⑥    病棟の週間予定・日課
・入浴日や体重測定、シーツ交換などの予定を確認し、実習日誌の行動計画に記入する。
 
⑦    受け持ち患者の情報と説明・紹介を行う。
 
⑧    実習行動計画と看護の計画に関すること
・実習目標と計画の発表をいつ、誰に行うか確認する。

事例2 関連図を作成するために必要な情報

病態関連図は解剖生理の基礎や病理を理解できていなければ疾患の経過がわかりません。解剖生理を学習するときに、単語だけを覚えて、解剖生理がわかった気がしている人にとって、看護実習を乗り切るためには大きな壁があります。
 
また、人間には発達変化もあり、全人的看護とも言われる通り人間の全ての側面を知っている必要があります。参考書の事例が自分が探している対象者と異なった時に、年齢による特性や性別による特性が理解できていなければ、関連図の書き方にズレが生じます。 

まず、患者様の日常動作、援助方法、目標などの情報を収集し、付箋紙に書き取る。
 
情報収集は、実習2日目までを目標とし、3日目には関連図が書けるように心がける。
 
 土曜日や日曜日にまとめて作ろうとすると、情報のボリュームが少ないことや必要なことが情報収集できていなくて、進まない経験がある看護学生が大勢います。
 
上の付箋紙を貼り合わせた用紙をコピーすると、まるで、記入したかのような関連図ができ上ります。一部を書き直したい、前後の流れを変えたいときにも簡単にできます。
 
提出するために一挙に仕上げようときれいに書こうとするため、あとから少し書き込むだけでも全体を消して作りなおす必要があります。

事例3 患者像がつかめない

健常な90歳とはいったいどんな人なのかを考える必要があります。
 
高齢者に脱水が生じやすい理由はなにか?脱水には何があるのか?脱水の結果、体内水分量が減少する。そうなると、生じる身体変化は・・・といった具合に算数的に物事の原因と結果をリンクさせるのです。

発達段階から学習する

対象の患者の年齢・性別・生活環境等により、入院時の状況や最終目標や退院後の在宅での看護等、生活を考慮する必要があります。
 
また、慢性期・急性期、小児・成人・老年期等で社会復帰に必要な社会資源も異なります。
 
事前学習では、担当させていただく患者像から、疾患と発達段階に応じた援助時の留意点をメモしておくと便利です。

事例4 参考書に探している看護の展開がない

看護の展開は、科学的根拠に基づいて行わる必要があります。
『トイレ動作を援助する』行為にしても、移動・脱衣・排泄・着衣・移動のどこの段階に問題があるのかを分析し、看護の援助を計画することが大切です。 

教科書の複数の展開を参考にする

  
教科書や参考書には、解剖生理学やそれぞれの疾患に関する教科書、病態関連図の参考書、患者さんと同じ疾患の看護過程が展開されたものがあります。
また、自分の学校で使っている理論家の展開が紹介された本もあります。
 
教科書やインターネットの情報を収集する場合には、必ず一工夫が必要です。
どこに必要か考えてからコピーすると無駄になりません。
必要な文章はマーカーを引いて付箋を貼ります。
解剖生理系は図や絵のコピーを切り抜き、自分で説明を書き加えます。
読んで分かりにくい所は教科書などの調べたページを書き込んでおきます。
症状や治療については表や箇条書きをさがします。
 
まず、多くの情報の中から、必要事項を的確に探すと、看護の展開がスムーズに行うことができます。

事例5 看護の問題点がわからない

看護学生は疾患だけに注目し、全体像を見誤る傾向があります。治療の援助だけが看護ではありません。
ただ、あなたが側にいて、患者様が病気と闘う勇気を持つお手伝いをする、それも立派な看護です。 

糖尿病の急性期における一般的な看護計画の事例です。
 
この一般的な看護計画に、あなたが担当している患者様の個別性を追加するとオンリーワンの看護計画が作成できます。
 

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バイタルサイン

食前血糖値

血液検査

視力

眼底検査

インスリン量

水分量

排尿回数

排便回数と性状

食事量

倦怠感

下肢の離隔鈍麻

下肢のしびれ

病態に対する理解

t-p

上記の観察項目に異常がみられた場合、アセスメントして看護師に報告する

対象者が抱いている疑問や質問を一緒に調べる

糖尿病についての理解を教えてもらう形で、病態に対する理解を引き出す

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講浸透圧性昏睡、低血糖、足病変、脳梗塞や心筋梗塞との関係、感染症との関係についてパンフレットを用いて説明する

卒業生も苦労した看護実習!

 
先輩たちも看護実習ではずいぶん苦労しました。
先輩たちが後輩のために作成した『看護実習のコツ』 

私たちも実習サポートを利用し、国試合格へ

 
 
  
 
3年生になり、いざ実習が始まると記録や事前学習、準備物に追われ、私は特に記録に時間がかかってしまうので、真夜中まで書き続け、ほとんど寝れずに実習へ行くこともよくありました。そのためあまり国試勉強に時間をかけれませんでした。
すると、1番初めの業者模試ではクラスで3位でしたが、2回目になるとクラスの中でも下から数えた方が早くなってしまいました。
必修も7割しか取れないまま実習が終わり、本腰を入れて国試勉強を始めることになりました。
実習や看護研究の相談もできたので、あまり記録物に時間をかけることなく、もっと早くから国試対策に力を入れることができたのかなぁと、少し後悔しています…。
 

 
 
国家試験に対して全く意識がなく危機感もなく、ただただ実習をこなしているだけでした。
 
試験勉強は12月の実習後で間に合うだろうと思っていました。
 
そんな時、小山先生の講義を聞いて『この先生の授業を受けたら、私、勉強できるようになるかもしれない!!成績が上がるかもしれない!!国試受かるかもしれない』と感じ、その日に申込みました。
 
電話相談では、実習で困ったことや、勉強で分からないこと、就活の志望動機の添削などありがとうございました。やる気がなく落ち込んでいたときは動画で励ましのメッセージをくださり、とても嬉しかったです。
 

『実習が苦痛から楽しみに変わりました。』 沖縄県 Kさん

実習の反省会で「本日の気づきは何?」と質問されると、正直答えるのをためらっていました。自分の調べたことが正しいのかどうか分からず、この時間が苦痛でたまりませんでした。しかし、個別指導で学習の仕方から指導していただいたおかげで、実習のカンファレンスが楽しみになりました。
 

『実習の個別指導で模試B判定になりました』 京都府 Nさん

状況設定問題が苦手で、模擬試験の結果はいつもD判定でしたが、実習の個別指導を受けていたら、いつの間にか状況設定問題が得意分野になりました。