次の文を読み午後問題91~93の問いに答えよ。
Aさん(62歳、男性)。1人暮らし。1週前から感冒様症状があり様子をみていたが、呼吸困難と咳嗽が増強したため外来を受診した。胸部エックス線写真と胸部CTによって特発性肺線維症による間質性肺炎と診断され入院した。
既往歴:42歳で糖尿病と診断された。59歳と61歳で肺炎に罹患した。
生活歴:3年前から禁煙している(20~59歳は20本/日)。
身体所見:BMI17.6。体温38.8℃、呼吸数30/分、脈拍112/分、血圧140/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉91%。両側下肺野を中心に、吸気終末時に捻髪音あり。呼気時は問題ないが、吸気時に深く息が吸えない。ばち状指を認める。
検査所見:血液検査データは、白血球13,000/µL、Hb10.5g/dL、総蛋白5.2g/dL、アルブミン2.5g/dL、随時血糖85mg/dL、CRP13.2mg/dL。動脈血液ガス分析で、pH7.35、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉38Torr、動脈血酸素分圧〈PaO2〉56Torr。胸部エックス線写真と胸部CTで、下肺野を中心に輪状影、網状影、淡い陰影あり。
午後問題91 入院時のAさんの身体状況のアセスメントで適切なのはどれか。
1.水様性の気道分泌物が貯留している。
2.呼吸性アシドーシスである。
3.栄養状態は良好である。
4.Ⅰ型呼吸不全である。
午後問題91 解答 4
午後問題91 解説 動脈血中の酸素分圧が60mmHg以下になることを呼吸不全、二酸化炭素分圧の増加を伴わない場合(45mmHg以下)をI型呼吸不全、45mmHgをこえる場合をII型呼吸不全、このような呼吸不全が1か月以上続く状態を慢性呼吸不全と定義する。
午後問題92 Aさんは入院後に呼吸機能検査を受けることになった。換気障害の分類を図に示す。
Aさんの呼吸機能検査の結果で考えられるのはどれか。
1.A
2.B
3.C
4.D
午後問題92 解答 1
午後問題92 解説 肺の間質におこる炎症は間質性肺炎とよばれ、感染症による肺炎(主に細菌などが原因となっておこる肺炎)とは区別される。
午後問題93 入院後18日。Aさんは2日後に自宅へ退院することとなった。Aさんは「病院に来る前は、息苦しくて死ぬかと思った。あのような思いはもうしたくない。家に帰ってまた息苦しくならないか不安だ」と言う。
Aさんが症状を自己管理できるように指導する内容で適切なのはどれか。
1.習慣的に腹式呼吸をする。
2.入浴時は肩まで湯に浸かる。
3.動作時は前傾姿勢を保持する。
4.息苦しくなったら仰臥位を保持する。
午後問題93 解答 1
午後問題93 解説 仰臥位や側臥位では、体重による圧迫で肺にうっ血が起こりやすくなる。また、肋骨や胸骨の動きが制限される。加えて、腹部内臓によって横隔膜の動きがある程度制限され、肺での換気量は減少してしまう。
次の文を読み午後問題94~96の問いに答えよ。
Aさん(52歳、女性)。自宅で突然激しい頭痛と悪心が出現し、自力で救急車を要請し、搬送された。ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-2で頭痛を訴えており、発汗著明であった。瞳孔径は両側3.0㎜。上下肢の麻痺はない。Aさんは頭部CTでくも膜下出血と診断され、ICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数24/分、血圧156/98mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉95%であった。
午後問題94 ICU入室から24時間以内に注意すべきAさんの症状や徴候はどれか。
1.Kussmaul〈クスマウル〉呼吸
2.膝蓋腱反射の低下
3.企図振戦
4.瞳孔散大
午後問題94 解答 4
午後問題94 解説 頭蓋内圧が亢進すると脳ヘルニアを生じ瞳孔散大がおこる。
午後問題95 Aさんは脳血管造影で右中大脳動脈に動脈瘤が確認され、脳血管内治療(コイル塞栓術)が実施された。その後、Aさんは意識清明で問題なく経過していたが、手術後6日から刺激に対する反応が鈍くなり、閉眼していることが多くなった。意識レベルはジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-10。左上肢はBarré〈バレー〉徴候陽性を示した。
Aさんに生じていることとして最も考えられるのはどれか。
1.けいれん発作
2.脳血管攣縮
3.せん妄
4.再出血
5.水頭症
午後問題95 解答 2
午後問題95 解説 脳血管攣縮はくも膜下出血を起こした後、約4日目から 2~3週間の間に生じることが多い。脳の血流量がある閾値より低下すると、場所により様々な症状が出現する。
午後問題96 手術後14日、頭部CTで右大脳半球に小範囲の脳梗塞が認められた。Aさんは、左上肢の挙上はできるが維持が困難であり、左膝の屈曲はできるが左下肢の挙上は困難である。意識は清明であるが、Aさんは左片麻痺があるため動こうとしない。
Aさんへの看護で最も適切なのはどれか。
1.日常生活動作〈ADL〉の自立度をアセスメントする。
2.歩行訓練のときは杖の使用を勧める。
3.左上肢の筋力増強運動を指導する。
4.車椅子への移乗は全介助で行う。
午後問題96 解答 1
午後問題96 解説 ADLの自立度を正確にアセスメントし、Aさんに最適なリハビリを計画する必要がある。
次の文を読み97~99の問いに答えよ。
Aさん(87歳、男性)。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。1年前に妻が亡くなってから1人で暮らしている。日常生活は問題なく送れていたが、最近Aさんは薬の飲み忘れることが増えてきたり、電話の応対ができなかったりすることがあり、日常生活に支障が出るようになった。
午後問題97 Aさんの状態に該当する認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクはどれか。
1.ランクⅡa
2.ランクⅡb
3.ランクⅢa
4.ランクⅢb
5.ランクM
午後問題97 解答 2
午後問題97 解説 Ⅱ:日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思の疎通の困難さが多少みられても、誰かが注意していれば自立できる。
Ⅱb:家庭内でも上記Ⅱの状態がみられる。
午後問題98 その後、Aさんは、コンロの火を消し忘れることや、買い物に行って自宅に戻れないことが何度もあり、在宅での生活が困難になったため、介護老人福祉施設に入所した。Aさんは自分の思い通りにならないときに、大声を出して暴れることがあった。時折落ち着かない様子で施設内を徘徊することがあったが、看護師が話しかけると、立ち止まり「散歩しています」と笑顔で話していた。ある日、Aさんがエレベーター前に1人で立っていたため、看護師がどこへ行くのか尋ねると、Aさんは「家に帰ります」と言った。
このときの看護師の対応として最も適切なのはどれか。
1.「一緒に出かけましょう」としばらく周囲を歩く。
2.「トイレに行きましょう」とトイレに誘導する。
3.「転んだら危ないですよ」と車椅子に誘導する。
4.「入所中なので家には帰れません」と説明する。
午後問題98 解答 1
午後問題98 解説 認知症患者の間違いを指摘や否定せず、しばらく一緒にあるいて、満足感を与える態度で接することが大切である。
午後問題99 普段は入浴を楽しみにしていたAさんが、1週前に浴室で誤って水をかぶってしまい、それ以来「お風呂に入ると寒いから嫌だ」と言って入浴を拒否するようになった。この日も「お風呂は寒い」と言って、入浴を拒否している。看護師が浴室と脱衣室の室温を確認すると26℃~28℃にあたためられていた。また、施設内の温度は一定に設定されており、浴室から部屋まで移動する間も寒さを感じることはなかった。
Aさんへの対応として適切なのはどれか。
1.入浴の必要性を説明する。
2.特殊浴槽での入浴を勧める。
3.一緒に湯の温度を確認する。
4.今日は入浴しなくてよいと伝える。
午後問題99 解答 3
午後問題99 解説 室温・湯温ともに問題がないので、一緒に湯の温度を確認するなどして、不安の解消をはかる。
次の文を読み午後問題100~102の問いに答えよ。
A君(14歳、男性)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500ml摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。
午後問題100 B教諭が病院に電話連絡したところ、熱中症の疑いがあるため、A君をタクシーで病院に連れて行くこととなった。このときのA君の意識は清明で、体温は38.7℃であった。
病院到着までに、看護師がB教諭に指示する処置として適切なのはどれか。
1.A君の体を冷やす。
2.A君に水を飲ませる。
3.A君の上体を高くする。
4.中枢から末梢に向けてA君の手足をマッサージする。
午後問題100 解答 1
午後問題100 解説 症状や重症度に関わらず、熱中症が疑われる時には涼しい場所へ移動し身体を冷やすことと、水分と電解質を速やかに補給する必要がある。
午後問題101 B教諭に付き添われて、A君は病院に到着した。来院時、A君のバイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48mmHgであった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/µL、白血球12,500/µL、Hb16.8g/dL、Na152mEq/L、K4.0mEq/L、CI109mEq/L、クレアチニン0.9mg/dLであった。尿比重1.035。受診時の身長165㎝、体重57kg(発症前60㎏)。
A君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか。
1.貧血である。
2.低カリウム血症である。
3.高ナトリウム血症である。
4.循環血液量が増加している。
5.ツルゴール反応は正常である。
午後問題101 解答 3
午後問題101 解説 血清ナトリウムの基準値は135〜145mEq/lである。水分の不足による体内総ナトリウムの上昇は細胞外液の増加をおこし、自由水が減少することで、血清浸透圧上昇を介し口渇中枢が刺激され多飲多尿となる。しかし、十分な水分補給が行われなわないことで高ナトリウム血症を発症する。
午後問題102 A君は熱中症と診断された。点滴静脈内注射の後、A君の状態は回復し、家族とともに帰宅することとなった。付き添いのB教諭から、今後の部活動における熱中症予防について看護師に相談があった。
熱中症予防のための指導内容で適切なのはどれか。
1.袖口の狭い服の着用を促す。
2.口渇がなくても水分摂取を促す。
3.湿度が高いときに部活動をする。
4.休憩は90分に1回を目安にする。
午後問題102 解答 2
午後問題102 解説 熱中症が疑われるときは、ただ水分を補給するのではなく、塩分も一緒に補給することが重要である。
次の文を読み午後問題103~105の問いに答えよ。
A君(13歳、男児)。2週前から下腿の紫斑、腹痛、
膝関節の疼痛が出現し、近くのクリニックを受診した。血尿および蛋白尿も認められたため、病院を紹介され受診した。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。
身体所見:体温36.7℃、血圧110/66mmHg。意識清明。腹痛、浮腫なし。両膝関節の軽度の疼痛があるが、腫脹および発赤なし。両下腿に紫斑が散在している。
検査所見:血液所見:赤血球470万/µL、白血球5,600/µL、血小板21万/µL。プロトロンビン活性〈PT活性〉105%(基準値80~120%)、活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉32.0秒(基準対照31.2秒)。クレアチニン0.56mg/dL、アルブミン3.7g/dL、CRP0.1mg/dL。補体価(CH50)41IU/mL(基準値30~45 IU/mL)、抗核抗体陰性。尿所見:蛋白3+、鮮血2+、赤血球50~99/1視野。
午後問題103 A君の状態から最も考えられる疾患はどれか。
1.川崎病
2.血友病A
3.急性リンパ性白血病
4.全身性エリテマトーデス〈SLE〉
5.Henoch-Schonlein〈ヘノッホ・シェーンライン〉紫斑病〈IgA血管炎〉
午後問題103 解答 5
午後問題103 解説 紫斑をはじめとした皮膚症状がみられ、検査所見では、血尿+たんぱく尿、腎機能の低下(血清クレアチニンの急速な上昇)などがある。
午後問題104 その後6か月間、A君は外来で経過観察となった。関節症状および紫斑は自然に消失したが、尿の異常と低蛋白血症は変わらず、その他の所見も変化がなかった。
A君の尿の異常の確定診断をするために最も重要な検査はどれか。
1.腎生検
2.咽頭培養
3.腹部MRI
4.クレアチニンクリアランスの測定
午後問題104 解答 1
午後問題104 解説 IgA腎症は腎生検による糸球体の観察が唯一の方法である。
午後問題105 検査の結果、A君は2年間のステロイド治療が必要と判断された。1か月後に外来受診の予定である。
看護師からA君に対して行う生活指導で適切なのはどれか。
1.「水分を積極的に摂取してください」
2.「紫斑が出現したら記録してください」
3.「蛋白質を制限した食事を摂取してください」
4.「日光をなるべく浴びないようにしてください」
午後問題105 解答 2
午後問題105 解説 再発の早期発見につながる。
次の文を読み午後問題106~108の問いに答えよ。
Aさん(32歳、男性)。自宅の部屋で多量の鎮咳薬を見つけた母親に心配され、自宅近くの病院を受診した。「5年前、仕事が忙しくなって風邪がなかなか治らないことがあった。そのときに処方された咳止めの薬を飲むと、頭がボーッとして気持ちが良かったのがきっかけで、近所の薬局で咳止めを買うようになった。3年前から飲む量が増えるようになり、やめられなくなっている。仕事もうまくいかなくなり、退職した」と言う。Aさんは紹介を受けた精神科を受診した。
午後問題106 このときにAさんから収集する情報として優先度が高いのはどれか。
1.排尿回数
2.咳嗽の有無
3.鎮咳薬の使用状況
4.生活上のストレス要因
午後問題106 解答 3
午後問題106 解説 鎮咳薬の依存症が疑われるので、まず、本人から使用状況を確認し、依存の程度を把握する。
午後問題107 Aさんは鎮咳薬による薬物依存症と診断され、任意入院となった。入院2週後、Aさん、主治医および担当看護師で、今後の治療について話し合った。Aさんは「今までは自分の力で薬をやめられると思ったけれど、やっぱりできなかった。仕事もしていないし、家に帰ったらまた薬を買ってしまいそうだ。今度こそ何とかやめたい」と話している。
Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。
1.服薬心理教育を実施する。
2.ハローワークを紹介する。
3.生活技能訓練〈SST〉を勧める。
4.薬物依存症者のリハビリテーション施設の情報を提供する。
午後問題107 解答 4
午後問題107 解説 リハビリテーション施設などの自助活動は、薬物依存症の回復段階における心の回復と人間関係の回復を達成するうえで効果がある。
午後問題108 さらに2週が経過し、Aさんは鎮咳薬の服用をやめる意思を強く固め、今後の依存症の治療について真剣に考えるようになった。Aさんの父親はAさんが幼少期のころ死亡しており、Aさんは母親と2人で暮らしていた。母親は週2回面接に来て、Aさんに対して小さな子どもに接するように世話をしていた。担当看護師が母親と今後のことについて話すと、母親は「私が何とかします。私しかこの子の力になってあげられないのです。本当はもっとAにしっかりして欲しい。でも、そう言うとAは怒ってしまいます」と話した。
担当看護師の母親への声かけで適切なのはどれか。
1.「親戚で頼りになる方はいませんか」
2.「なるべく怒らせないようにすることが大切です」
3.「お母さんは今までどおりの関わりで良いですよ」
4.「Aさんが自分で自分のことをできるようにサポートしていきましょう」
午後問題108 解答 4
午後問題108 解説 本人・家族も今までの生活習慣を振り返り、間違ったところは治し、できるだけの本人の能力で回復できるようにサポートすることが求められる。
次の文を読み午後問題109~111の問いに答えよ。
Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。
午後問題109 入院後、Aさんは主治医と話し合い、1日の手洗いの回数を決めたが、毎日その回数を超えて手洗いを続けている。看護師が確認するといつも洗面所にいる。
Aさんが決めた回数を超えて洗面所で手洗いを続けているときに、看護師がとる対応で適切なのはどれか。
1.手洗いを続けてしまうことについてAさんと一緒に話し合う。
2.病棟は清潔であることをAさんに説明する。
3.主治医にAさんの隔離について相談する。
4.Aさんと決めた手洗いの回数を増やす。
午後問題109 解答 1
午後問題109 解説 強迫観念は、自分では理解しているので、相手のつらい気持ちを理解し、受容的な態度で接すること。
午後問題110 Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触は避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。
母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1.父親と交代で毎日面会に来るよう勧める。
2.Aさんからの自宅への連絡を制限することを約束する。
3.Aさんの代わりに看護師がAさんの苦悩を母親に伝える。
4.Aさんと母親との話し合いに看護師が同席することを提案する。
午後問題110 解答 4
午後問題110 解説 母親の負担も考慮にいれ、一度、親子でゆっくりと話す機会をもち、互いに納得できる解決策を見出すことが重要である。
午後問題111 入院1か月後、手洗い行為は軽減してきた。Aさんはカーテンを閉め切って1人で過ごしていることが多いが、担当看護師や主治医とは治療について話ができるようになってきた。Aさんは「薬を飲む以外にできることはありますか」と聞いてきた。
このときのAさんに最も有効と考えられるのはどれか。
1.催眠療法
2.作業療法
3.認知行動療法
4.就労移行支援
午後問題111 解答 3
午後問題111 解説 認知行動療法では、毎日の行動の中で優先順位をつけて行動活性化を図る。
次の文を読み午後問題112~114の問いに答えよ。
Aさん(76歳、女性。)夫(74歳)と2人暮らし。6年前にParkinson〈パーキンソン病〉と診断された。現在、Hoehn‐Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ〈L—dopa〉を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。
午後問題112 外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。
日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。
1.食事の量
2.便の性状
3.振戦の有無
4.排尿の回数
午後問題112 解答 3
午後問題112 解説 L-dopaにより脳内で不足したドパミンを補うことで、振戦、こわばりなどの症状を改善する。
午後問題113 Aさんと夫は、2週後に日誌を持って受診した。レボドパ〈L—dopa〉の処方が1日4回に増量されることになり、病状管理と療養指導のためAさんは週1回の訪問看護を利用することになった。薬剤が増量されてから1週が経過し、足がすくむことが少なくなった。Aさんから「足がすくむようになってから浴槽に入るのをやめていたけれど、入浴しても大丈夫でしょうか」と訪問看護師に相談があった。
Aさんに指導する内容で最も適切なのはどれか。
1.「レボドパが効いている時間に入浴しましょう」
2.「通所介護の入浴を利用しましょう」
3.「訪問入浴介護を利用しましょう」
4.「シャワー浴にしましょう」
午後問題113 解答 1
午後問題113 解説 L- dopaは、血液中での作用時間が短い(1時間強)ので、薬品の作用時間に入浴することをすすめる。
午後問題114 Aさんは「病気になる前は夫と近くの公園を毎日散歩していたけれ
ど、最近は通院以外に外出をしていません。以前のように、夫と近くの公園を散歩したいな」と訪問看護師に話した。
Aさんへの提案で最も適切なのはどれか。
1.歩行器の利用
2.電動車椅子の利用
3.住宅内の段差の改修
4.自宅でのリハビリテーションの実施
午後問題114 解答 設定の状況設定が不十分で正解が得られない 採点から除外
次の文を読み午後問題115~117の問いに答えよ。
Aさん(72歳、男性)。妻と2人暮らし。朝6時に、妻が一緒に寝ていたAさんの様子がおかしいことに気付き、救急車を呼んだ。Aさんは病院に搬送された。病院到着時、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅱ-10。右片麻痺および失語がみられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、呼吸数20/分、心拍数110/分、血圧150/90mmHg。身長160cm、体重60㎏。頭部CTで明らかな異常所見はなく、頭部MRIを行う予定である。
午後問題115 妻から聴取したAさんに関する以下の情報のうち、治療方針を決定するために最も重要な情報はどれか。
1.5年前から禁煙している。
2.最近、眠りが浅いと言っていた。
3.今朝5時にトイレから戻って来た。
4.健康診査を2年間受診していなかった。
午後問題115 解答 3
午後問題115 解説 経静脈血栓溶解療法は起こって4.5時間以内、カテーテルを使用して詰まった血栓を除去する血管内治療は8時間以内の患者が対象となる。そのため、発症時間が重要となる。
午後問題116 Aさんは、左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断され、組織プラスミノーゲンアクチベータ〈t-PA〉による血栓溶解療法が行われた。入院から2日後、右片麻痺は残存しているものの、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉Ⅰ-3と改善がみられた。多職種カンファレンスで経口栄養を検討したが、言語聴覚士による評価では、Aさんは誤嚥のリスクが高いと判断され、経鼻胃管による経管栄養を行うこととなった。
Aさんに行う経管栄誉法について適切なのはどれか。
1.白湯から開始する。
2.開始前に胃残差を確認する。
3.経鼻胃管挿入中は嚥下訓練を中止する。
4.1日の目標摂取エネルギー量は2,200kcalとする。
午後問題116 解答 2
午後問題116 解説 胃液の性状や消化の状態を把握するために、胃液、胃残差物の確認は毎回必ず行う。胃残量が多い場合は、注入時間の検討や注入量を調節する。
午後問題117 入院3日の20時、Aさんは覚醒し、点滴を触ったり、経鼻胃管を抜こうとしたりしており、落ち着かない様子である。
担当看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。
1.身体拘束を行う。
2.早めに消灯をする。
3.バイタルサインを測定する。
4.向精神薬の使用を検討する。
午後問題117 解答 3
午後問題117 解説 せん妄や病状の悪化を予測してバイタルサイン測定を行い、身体的問題がないかを確認する。
次の文を読み118、119の問いに答えよ。
Aさん(34歳、経産婦)は、夫(35歳)と長男のB君(3歳)との3人暮らし。これまでの妊娠経過に異常はなかった。20時に体重3,150gの男児を正常分娩した。分娩所要時間は6時間30分、分娩時出血量は480mlであった。第1度会陰裂傷のため、縫合術を受けた。その他の分娩の経過に問題はなかった。
午後問題118 Aさんは翌日の2時に尿意があり、自然排尿があった。8時に「昨晩は後陣痛の痛みが強くて眠れませんでした。おっぱいを飲ませたら、後陣痛がさらに強くなって、汗が出てきました」と言う。子宮底の高さは臍高、子宮は硬く触れ、血性悪露が中等量みられる。Aさんのバイタルサインは、体温37.0℃、脈拍68/分、血圧125/70mmHgであった。
このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
1.授乳を促す。
2.入浴を勧める。
3.骨盤底筋体操を指導する。
4.鎮痛薬の使用を医師に相談することを伝える。
午後問題118 解答 4
午後問題118 解説 安静と鎮痛薬コントロールをすすめる。
午後問題119 産褥5日。Aさんの退院のため、夫とB君が迎えに来た。AさんはB君の自宅での様子を夫から聞いた。B君は「ご飯を食べさせてほしい」と訴えたり、「赤ちゃんを家に連れて来ないで」と泣いたりしていたという。そのことを知ったAさんはB君を抱きしめ、B君の話をゆっくり聞いていた。Aさんは退院後のB君への対応について心配になり、看護師に相談した。
Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。
1.「B君に好きな物を食べさせましょう」
2.「B君の世話は夫にしてもらいましょう」
3.「B君と一緒に赤ちゃんの世話をしましょう」
4.「B君に兄としてしっかりするように話しましょう」
午後問題119 解答 3
午後問題119 解説 退行現象が出る場合や兄弟に攻撃的になったりするので、一緒に赤ちゃんの世話をすることで徐々に受け入れるようなる。
次の文を読み午後問題120の問いに答えよ。
Aさん(82歳、男性)。長男夫婦との3人暮らし。4年前に認知症と診断された。Barthel〈バーセル〉インデックスは100点、Mini Mental State Examination〈MMSE〉は18点。環境の変化で落ち着きがなくなることがある。日頃は温泉旅行やカラオケを楽しんでいる。右外果にできた創傷から右下腿の腫脹と疼痛が出現したため病院を受診したところ、蜂窩織炎と診断されて入院した。入院翌日、右下腿の腫脹と疼痛は続いている。担当看護師は、認知症の行動・心理症状〈BPSD〉を最小限にするための看護を計画することとした。
午後問題120 担当看護師が計画するAさんへの看護で適切でないのはどれか。
1.右下腿を足浴する。
2.右下腿を挙上する。
3.温泉旅行の話をする。
4.Aさんが好きな歌を歌う機会をつくる。
午後問題120 解答 1
午後問題120 解説 蜂窩織炎は皮膚と皮下組織の急性細菌感染で最も頻度の高い原因菌はレンサ球菌とブドウ球菌である。