次の文を読み午後問題1~3に答えよ。
65歳の男性。2人の子どもは結婚して別居し、妻と2人暮らし。肺気腫の急性憎悪で入院し、1週後に退院予定である。現在、酸素を1L/分で24時間吸入している。医師から自宅でも酸素療法が必要であると説明を受けた。病院には訪問看護室があり、退院後に訪問看護を受けることになった。妻に「早く家に帰りたいが酸素が手放せなくなったらどうしよう」と訴えている。自宅は病院から車で30分の所にある。エレベーターがあるマンションの5階に住んでいる。
午後問題1 退院前に、病院の訪問看護婦が患者と妻とに確認する情報で優先度が高いのはどれか。
1.酸素供給装置の設置場所の状況
2.援助者の有無
3.妻の健康状態
4.酸素療法に対する不安
午後問題2 訪問看護婦が医師と病棟の看護婦から収集する患者の情報で優先度が低いのはどれか。
1.疾病についての理解度
2.気分転換の方法
3.緊急時の連絡体制
4.身体障害者福祉法の適用の有無
午後問題3 訪問看護婦が患者と妻とに行う退院に向けての指導で優先度が低いのはどれか。
1.酸素供給量の調節
2.吸引器の準備
3.入浴時の酸素吸入方法の指導
4.外出時の携帯用酸素装置の準備
次の文を読み午後問題4~6に答えよ。
68歳の男性。身長170cm。体重75kg。妻との2人暮らし。3か月前に脳梗塞で倒れ、左半身麻痺が残っている。入院中は機能訓練をし、退院時には車椅子とベッドとの間の介助移動が可能になっていた。退院後は機能訓練も行わず、ベッド上での坐位生活を送って1か月になる。妻の依頼で、訪問看護ステーションから訪問看護が開始されることになった。看護婦が訪問し挨拶すると、目を見つめ姿勢を正して「よろしく」と頭を下げた。妻は「退院後はリハビリをあまりやろうとしないし、情なくて。どうしてもリハビリをやって元の身体に戻ってほしいんです。私ではダメなんです。」という。妻は最近腰痛を訴えている。
午後問題4 初回訪問時のアセスメントで適切なのはどれか。
a.妻の介護量は増やせない。
b.生活範囲の拡大が必要である。
c.市販の機能訓練用具が必要である。
d.電動車椅子が必要である。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題5 自立度を高めるために必要な情報で優先度が低いのはどれか。
1.上下肢の筋力の程度
2.訪問看護に対する本人の期待
3.経済的状況
4.妻が介助できる範囲
午後問題6 機能訓練を行っていない理由は妻に負担をかけたくないためであることがわかった。
看護婦からの妻への提案で優先度が低いのはどれか。
1.ホームヘルパーの利用
2.医師の往診
3.理学療法士による訪問リハビリテーション
4.通所機能訓練
次の文を読み午後問題7~9に答えよ。
45歳の女性。姉と2人暮らし。子宮頸癌と診断されて余命1年と言われた。本人および姉は自宅で死を迎えたいという希望があり、かかりつけ医と訪問看護婦による在宅医療を受けている。現在は10か月が過ぎ、硫酸モルヒネ徐放錠40mg/日を服用中である。「薬は朝9時と夜9時に飲んでいるのに、痛みがとれなくて困っています。寝がえりをうつと腰の痛みが強くなるんです。それに食事があまり食べられなくて、便は5日に1回ぐらいです。痛みがなくなれば私はもっと外出したいの」と言う。
午後問題7 この時点でのアセスメントで誤っているのはどれか。
1.癌の浸潤が進んでいる。
2.鎮痛薬の使用量が不足している。
3.鎮痛薬の服用量を自己調節している。
4.鎮痛薬の副作用が出現している。
午後問題8 その後、痛みはコントロールされた。本人の外出希望について話し合ったとき、姉が外出時の病状の急変について不安を抱き始めた。
姉への援助で適切でないのはどれか。
1.姉に外出時の必要物品を説明する。
2.姉と外出の意義について話し合う。
3.看護婦が外出できる地理的な範囲を決める。
4.看護婦が外出に付き添うことを提案する。
午後問題9 次第に全身の衰弱が進み、3か月が経過した。夜間「呼吸が荒い」と緊急訪問の依頼の電話があった。
対応で適切でないのはどれか。
1.救急車を呼ぶよう勧める。
2.かかりつけ医に連絡するよう勧める。
3.そばに付き添っているよう勧める。
4.本人と姉に入院の希望を確認する。
次の文を読み午後問題10~12に答えよ。
55歳の男性。1か月前から食物がつかえて嘔吐するようになり、外来を受診した。内視鏡検査で噴門部の胃癌と診断され手術目的で入院した。入院時の所見で、顔色は蒼白でるいそうが著明であった。皮膚は乾燥していた。身長168cm。体重45kg。脈拍数100/分。呼吸数18/分。体温36.5℃。血圧110/82mmHg。赤血球292万/mm3、Hb7.8g/dl。患者は「手術がこわい」と言っている。
午後問題10 手術に向けての目標で優先度が低いのはどれか。
1.栄養状態の改善
2.貧血の改善
3.感染の予防
4.手術に対する不安の軽減
午後問題11 左開胸開腹胃全摘出術、食道空腸吻合術が行われた。術後5日から吃逆と腹痛とが出現し、37~38℃の発熱が認められた。嘔吐、咳嗽はなかった。左横隔膜下のドレーンから濃緑色の排液があった。
最も考えられるのはどれか。
1.肺 炎
2.縫合不全
3.膵液漏出
4.イレウス
午後問題12 症状が落ち着き、術後14日から食事が開始された。
この時期の食事指導で適切なのはどれか。
1.分割食にする。
2.満腹感を目安に1回摂取量を決める。
3.食直後は仰臥位安静にする。
4.食後の低血糖に注意する。
次の文を読み午後問題13~15に答えよ。
50歳の女性。10年前にC型肝炎と診断された後、定期受診を続けていた。最近食欲が低下し、全身倦怠感、腹部膨満感、便秘、下腿浮腫および皮膚そう痒感が生じたために外来受診した。血液検査の結果、肝機能低下が認められたので検査と肝庇護との目的で入院した。入院時の血液検査の結果はHb10.2g/dl、総蛋白5.0g/dl、総ビリルビン2.5mg/dl、アンモニア85μg/dl(基準48以下)、AST(GOT)305IU/L、ALT(GPT)203IU/L、γ‐GTP80IU/L、ALP400IU/Lであった。
午後問題13 図はこの患者の病態を示している。
に入るのはどれか。
1.胆道系酵素上昇
2.低蛋白血症
3.高ビリルビン血症
4.貧 血
午後問題14 日常生活指導で適切なのはどれか。
a.脂質の豊富な食事にする。
b.食後は安静臥床にする。
c.排便が毎日あるようにする。
d.皮膚を乾燥させる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題15 腹水消失後、腹部エコー検査で発見された肝内の結節に対してエコーガイド下で肝生検が実施された。
検査後、当日の観察項目で優先度が低いのはどれか。
1.皮膚穿刺部からの出血
2.右季肋部痛
3.呼吸困難
4.尿潜血反応
次の文を読み午後問題16~18に答えよ。
46歳の男性。独身。兄はいるが遠方に住んでいる。毎日飲酒し食事も不規則であった。朝自宅で倒れているのを職場の同僚が発見し、救急車で来院した。到着時、意識レベルはⅢ‐200(3‐3‐9度方式)であった。人工呼吸器が装着された。血圧182/100mmHg。頭部エックス線CTで視床出血が認められ、右半身の麻痺があった。その後、意識レベルはⅢ‐100になり、抜管され、気管切開が行われた。4か月が経過して経管栄養が開始された。意識レベルはⅡ‐20となり、人のいる方向に目を動かすような反応が出現した。拘縮予防と意思表出とに向けたリハビリテーションを行っている。兄は必要時しか面会に来なくなった。
午後問題16 図は頭部エックス線CT像である。
黒い箇所はは出血部位を示す。この患者の出血部位はどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
午後問題17 この時期の経管栄養時の看護で適切でないのはどれか。
1.注入前に気管内吸引を行う。
2.体位は半坐位または坐位で行う。
3.注入は8時間ごとに行う。
4.注入後に微温湯を流す。
午後問題18 意識障害の改善に向けた看護で適切でないのはどれか。
1.静かで落ち着いた環境を維持する。
2.ケアを通じて刺激を与える。
3.職場の同僚の面会時は声をかけてもらう。
4.目の動きが意味のある反応であるかを評価する。
次の文を読み午後問題19~21に答えよ。
44歳の男性。薬品会社の営業課長。妻と子どもとの4人暮らし。会社の定期健康診断の結果、身長174cm、体重84kg、血圧150/94mmHg、空腹時血糖126mg/dl、総コレステロール300mg/dlであった。このため、会社の健康管理室の看護婦に相談に来た。生活習慣については次のように答えた。一日3食に加え、接待での飲酒や残業での夜食をする習慣がある。飲酒量は毎日ビール大瓶3本程度で、喫煙は20歳ころから始め一日30本程度である。家族が嫌うため禁煙を試みたことが2度あるが失敗した。帰宅時間は毎日午後11時ころであり、休日に出勤することもある。電車通勤をしており、運動習慣はない。体重は30歳ころから増え始めた。
午後問題19 状態のアセスメントで誤っているのはどれか。
なお、1.74×1.74≒3.0とする。
1.空腹時血糖値は正常範囲にある。
2.高脂血症である。
3.BMIでは肥満である。
4.喫煙指数では肺癌のリスクグループに入る。
午後問題20 このままの生活習慣が発症のリスクを高めないのはどれか。
1.虚血性心疾患
2.肺気腫
3.脂肪肝
4.甲状腺機能低下症
午後問題21 看護婦の保健指導で適切でないのはどれか。
1.妻が1週間の食事を記録するよう提案する。
2.禁煙講習会への出席を勧める。
3.疲労の蓄積が健康に影響することを説明する。
4.有酸素運動を勧める。
次の文を読み午後問題22~24に答えよ。
38歳の女性。夫と9歳の子どもとの3人暮らし。性格は真面目である。昨年4月に支社の経理係長から本社の営業課長へ昇進し、夫、子どもと共に転居した。転居直後は新居の片付けや子どもの学校の編入などに奔走した。仕事が忙しく、帰宅は毎日夜9時を過ぎ、休日にも出勤した。7月ころから持続する上腹部痛を自覚したが、夏期休暇中には消失した。しかし、仕事を再開した途端、上腹部痛が再発し、取引先とのトラブルがあるたびに項部や肩のこりがひどくなり口唇ヘルペスもできたため受診した。食事は3食とっており、体重減少はみられない。H2受容体遮断薬が処方されたが、痛みがなくなると服薬を中断しては再発を繰り返している。今年の1月、家事を手伝ってもらうために田舎の母親に来てもらった。また、職場の配置換えの希望を申し出た。5年前から帰宅後すぐにビール大瓶2本を飲む習慣がある。
午後問題22 この状況で考えにくいのはどれか。
1.血圧の低下
2.血糖値の上昇
3.胃粘膜の潰瘍
4.免疫機能の低下
午後問題23 ストレス対処の考え方に基づくと、これらの身体症状を引き起こしている主な原因はどれか。
1.真面目な性格
2.転居に伴う諸調整
3.仕事の内容
4.飲酒習慣
午後問題24 R.S.ラザルスが提唱する問題中心の対処行動はどれか。
1.田舎の母親に家事を委ねた。
2.帰宅後すぐにビールを飲む。
3.休日も出勤し仕事を片付けた。
4.職場の配置換えの希望を申し出た。
次の文を読み午後問題25~27に答えよ。
82歳の男性。3か月前に脳梗塞で倒れ病院に入院したが、内科的治療により病状が安定したため老人保健施設へ移った。右片麻痺が残り、車椅子への移乗に介助を要する。話しかける内容についてはほぼ理解しているが、物の名前が出てこなかったり、ハサミを「ハスイ」と言ったりする。
午後問題25 患者の言語障害で正しいのはどれか。
1.感覚性失語
2.運動性失語
3.痙性構音障害
4.球麻痺
午後問題26 患者との意志の疎通を図るために適切でないのはどれか。
1.はい、いいえで答えられる質問にする。
2.実物を見せて選んでもらう。
3.物の正しい名前を繰り返し教える。
4.患者の使い慣れた言葉を用いる。
午後問題27 ベッドから車椅子への移乗動作の自立に向けた援助で適切でないのはどれか。
1.右側臥位から起き上がるよう指導する。
2.ブレーキをかけ忘れないよう習慣化を図る。
3.右前腕を体の正面に保持するよう指導する。
4.手すりにつかまり、立ち座り動作を繰り返し練習する。
次の文を読み午後問題28~30に答えよ。
72歳の女性。息子と2人暮らし。仕事を持つ息子を支え、家事一切を切り盛りしてきた。洗濯物を干すために縁側から庭に出ようとして転落し、左大腿骨頸部を骨折した。入院後、5日間の牽引を経て、人工骨頭置換術が施行された。術前の検査の結果に異常はなく、術中・術直後の経過は良好であった。しかし、術後1日の夜から「息子が迎えに来ているのでここから出して」と言いながらベッド柵を取り外そうとしたり、骨折で入院していることを説明しても「なぜ私を閉じ込めるのですか」と声を荒げるなどの言動がみられた。
午後問題28 このときの患者の状態から考えられるのはどれか。
1.痴 呆
2.せん妄
3.昏 迷
4.抑うつ
午後問題29 対応で適切なのはどれか。
a.看護婦の目の届くところにベッドを移動する。
b.日中は頻繁に声をかける。
c.1日中部屋を薄暗くする。
d.息子の面会を制限する。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題30 3か月後、患者は杖を使って歩けるまでに回復した。患者は退院後も息子とともに暮らすことを希望している。
退院に向けて行う援助で適切でないのはどれか。
1.患者の動作能力と家屋構造との適合性を評価する。
2.歩行での外出を避けるよう指導する。
3.ホームヘルプサービスに関する情報を提供する。
4.下肢の運動訓練計画を患者とともに作成する。