次の文を読み午後問題31~33に答えよ。
87歳の女性。脳梗塞で緊急入院した。左片麻痺がみられ、意識レベルは3‐3‐9度方式でⅡ‐20で、尿失禁があった。入院時、身長148cm、体重42kg。血液検査で赤血球385万/mm3、白血球5,800/mm3、血清総蛋白5.8g/dℓ、血清アルブミン2.7g/dℓ、血清コレステロール180mg/dℓであった。この時点のブレーデンスケールを表に示す。
午後問題31 この患者の褥瘡予防の看護で優先度が低いのはどれか。
1.湿 潤:殿部の乾燥
2.活 動 性:エアマットレスの使用
3.栄養状態:アルブミン製剤の与薬
4.摩擦とずれ:圧迫部のマッサージの禁止
午後問題32 入院5日、梗塞が再発し全身状態が悪化した。入院10日、オムツ交換時に仙骨部に5cm径のびらんがみられた。
褥瘡の深達度はどれか。
1.ステージⅠ
2.ステージⅡ
3.ステージⅢ
4.ステージⅣ
午後問題33 この褥瘡の処置で正しいのはどれか。
1.円座の使用
2.ドライヤーによる乾燥
3.滅菌ガーゼによる被覆
4.ハイドロコロイド・ドレッシング剤の使用
次の文を読み午後問題34~36に答えよ。
4歳3か月の男児。1歳のときにてんかんと診断され、抗てんかん薬を服用している。今回、意識消失とその際の失禁とがあり、精密検査および治療目的で入院した。病室内の歩行は許可されている。入院前は外で遊んだり、絵本を見るのが好きだった。夜は母親が添い寝していた。自宅から病院へは電車で2時間かかり、2歳の妹がいるために母親の面会は隔日になる。
午後問題34 入院2日、椅子に座りおやつを食べているときにボーッとし始め、続いて眼球右上方固定、両上肢を屈曲させた細かな間代性けいれんが出現した。
看護婦の対処で正しいのはどれか。
1.舌をかまないようにガーゼを丸めて口の中に入れる。
2.開口処置をし、食べ物をかき出す。
3.大きな声で呼びかける。
4.両上肢の動きを抑止する。
午後問題35 児は常に動き回り、他児の輸液ポンプに触ろうとしたり、同室の子どものベッドに登り、看護婦に繰り返ししかられている。
この児に対する看護で最も適切なのはどれか。
1.担当者が絵本を読む時間を長くもつ。
2.プロレスごっこをして身体を動かす。
3.母親に毎日面会に来るよう話す。
4.危険な行動をとる理由を子どもに尋ねる。
午後問題36 本日、午後1時から脳波検査の予定で、催眠薬が処方されている。
検査の準備で正しいのはどれか。
1.午前6時の検温から起こしておく。
2.活動範囲をベッド上に制限する。
3.検査の目的を前日に児に説明する。
4.昼食は摂らせないようにする。
次の文を読み午後問題37~39に答えよ。
在胎33週0日、1,600gで出生した新生児。アプガースコアは、1分後7点、10分後9点であった。吸気時、剣状突起部および肋間部に軽度の陥没がみられ、四肢末梢には限局したチアノーゼが軽度あるが、口唇色は良好であった。保育器に収容し、酸素療法を開始した。直腸温37.2℃、心拍数146/分、呼吸数42/分、経皮的酸素飽和度(SpO2)99%であった。腹壁温36.5℃。保育器内の湿度は35%であった。
午後問題37 適切なのはどれか。
1.保育器内の温度を上げる。
2.保育器内の湿度を上げる。
3.酸素流量を上げる。
4.保育器を直接照らす電灯を終日つけておく。
午後問題38 日齢1に酸素療法は中止となった。初めて両親がそろって児に面会に来た。
看護婦の対応で適切なのはどれか。
1.児に触れることができるよう援助する。
2.児の身体をポンポン叩いて刺激してあげるよう伝える。
3.保育器内の児の世話ができるよう指導する。
4.児を保育器の外に出して抱っこしてもらう。
午後問題39 日齢3に児の血清ビリルビン値が上昇し、医師から光線療法を開始することが説明された。
看護婦が母親に説明する内容で正しいのはどれか。
a.「治療中はお母さんの目の保護のため、面会時間を短くします」
b.「赤ちゃんの便の色は、胎便のような暗緑色になります」
c.「赤ちゃんを時々、うつぶせにします」
d.「両目を覆っているのは未熟児網膜症を予防するためです」
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題40~42に答えよ。
10か月の女児。暑い夏の夕方、テーブルクロスを引っ張り、テーブル上にあった鍋をひっくり返し、できたばかりの味噌汁を浴びた。別室にいた母親が子どもの泣き声に気付き、駆けつけた。子どもの右頬部から頸部、右前腕全面および右大腿前面部には味噌汁の流れたあとがあり、右側体幹前面にはびっしょり濡れた服が貼りついていた。子どもは大声で泣き叫んでいる。
午後問題40 母親が子どもに対してすぐにとるべき行動はどれか。
1.子どもの身体を清潔なバスタオルで包む。
2.味噌汁がかかった部位にシャワーで水をかける。
3.氷をビニール袋に入れて、赤くなった部位に当てる。
4.消毒液を赤くなった部位に噴霧する。
午後問題41 子どもは救急車で搬送された。熱傷の深達度と範囲は浅達性Ⅱ度20%、深達性Ⅱ度5%、Ⅰ度10%であった。体温37.0℃、心拍数124/分、呼吸数42/分、血圧112/64mmHg。子どもは大声で泣き続けている。
この時点で最も優先する処置はどれか。
1.抗生薬の塗布
2.静脈路の確保
3.疼痛の緩和
4.保 温
午後問題42 「ママがいけなかったの。ごめんね、ごめんね。ああ、どうしてあげたらいいのかしら」と母親はおろおろしている。
母親にかける言葉で適切なのはどれか。
1.「お母さんに責任はありませんよ」
2.「子どもがやけどをすることはよくありますよ」
3.「処置中でもそばにいてあげて下さい」
4.「やけどのあとは残らないでしょう」
次の文を読み午後問題43~45に答えよ。
38歳の2回経産婦。妊娠36週0日。定期健康診査のため来院した。体重は2週間前の健康診査時より4kg増加。血圧190/112mmHg。尿蛋白3+。顔面と下肢に浮腫がある。保健指導記録から次の情報を得た。職業は会社員である。妊娠中期からマタニティスイミングを行っている。妊娠32週時にHb11.0g/dℓのため食事指導を受けた。偏食が強く、レバーや緑黄色野菜が嫌いである。その他は順調に経過していた。「2~3日前から身体がだるく、食欲もないのでスポーツドリンクばかり飲んでいました。仕事をしている間は水泳も行っていたのに、産休に入ると同時に休んでしまって、そのせいかしら、指が太くなって、指輪が外れなくて。上の子たちのときはこんなことはなかったのに」と話している。
午後問題43 体重増加のアセスメントのために注目すべき情報はどれか。
a.水泳をやめていること
b.偏食が強いこと
c.スポーツドリンクばかり飲んでいること
d.指輪が外れないこと
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題44 緊急入院となった。
病室の準備で適切なのはどれか。
a.トイレに近い部屋を選ぶ。
b.室温を28℃に設定する。
c.窓とドアに暗幕を取り付ける。
d.面会謝絶の札をドアにかける。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題45 入院後の看護で適切でないのはどれか。
1.消化器症状の有無の確認
2.1日の尿量測定
3.1日3回の血圧測定
4.眼華閃発の有無の確認
次の文を読み午後問題46~48に答えよ。
30歳の初産婦。妊娠経過は順調である。分娩予定日の2週前の午前0時に規則正しい陣痛が発来した。午前9時ごろに破水し、羊水の混濁はなく、胎児心拍数は正常であった。午前10時20分に子宮口が全開大となり、児頭発露後に右側会陰切開し、午後1時20分に胎児娩出、午後1時30分に胎盤を娩出した。分娩開始から胎盤娩出時までの出血は280mlであり、鶏卵大の凝血が混入している。胎盤・卵膜に欠損はない。胎盤娩出後の子宮底長は恥骨結合上12cm、子宮は硬く触れる。新生児のアプガースコアは、1分後9点、5分後10点であった。体重2,700g、身長49cm。頭部に浮腫性で波動のない腫脹があった。
午後問題46 産婦のアセスメントで正しいのはどれか。
1.分娩遷延である。
2.前期破水である。
3.血液凝固障害が起きている。
4.子宮復古は良好である。
午後問題47 新生児のアセスメントで正しいのはどれか。
1.早産児である。
2.低出生体重児である。
3.頭部腫脹は24時間以内に消失する可能性が高い。
4.重症黄疸の危険性が高い。
午後問題48 産褥4日。前日から約3時間毎に授乳し、1回の哺乳量は40~50gである。授乳後も乳房緊満が続いている。乳管開口は両側とも10~15本程度である。
授乳後の乳房ケアで優先度の高いのはどれか。
1.蒸しタオルを用いたマッサージをする。
2.乳管開口を促進する。
3.乳頭を石けん液で清拭する。
4.乳房緊満が軽減する程度に搾乳する。
次の文を読み午後問題49~51に答えよ。
26歳の初産婦。結婚3年目の待望の妊娠であり、妊娠経過は母児ともに順調であった。夫婦で出産準備教室に通い、夫立ち会い分娩を望んでいた。妊娠39週6日、午前1時30分に陣痛が規則的に発来し、夫に付き添われて入院した。入院時、子宮底長33cm、胎児心拍数140bpm、子宮口は2cm開大し、未破水であった。午後2時、子宮口は6cmまで開大、まもなく胎児心拍陣痛図上に心拍数の一過性変動が出現した。その後も同様の変動が反復し、胎児仮死と診断された。夫婦と医師との話し合いの結果、緊急帝王切開術となった。手術は母児ともに異常なく終了した。児は3,200g。アプガースコアは、1分後8点、5分後9点で新生児室に入室した。
午後問題49 帝王切開術の適応となった胎児心拍数の一過性変動として考えられるのはどれか。
1.一過性頻脈
2.早発一過性徐脈
3.遅発一過性徐脈
4.変動一過性徐脈
午後問題50 術後3時間の観察のため訪室した。母のバイタルサイン、子宮復古状態は正常である。「下腹が時折ギュッと痛むし、傷も腰も痛い。腰の痛みはずっと上を向いているせいかもしれないけれど、動くと傷がもっと痛くなりそうで怖い。我慢するしかないですね」と話している。
痛みへの対応で適切でないのはどれか。
1.「下腹部の痛みは子宮が元にもどっているためですよ」
2.「下腹部を冷やしてみましょうか」
3.「腰の痛みをとるために横向きになってみましょうか」
4.「膝を曲げると傷の痛みが楽になりますよ」
午後問題51 翌日の訪室時「夫と一緒に楽しみにしていた出産が突然手術になってしまって、夫や赤ちゃんに申し訳ない。私の何が悪かったのかしら。元気な産声が聞けてほっとはしましたが。今、赤ちゃんはどうなんですか」とやや不安そうに話しかけてきた。そこにちょうど夫が来室した。
看護婦の対応で適切なのはどれか。
a.次回の出産には夫が立ち会えることを保証する。
b.何よりも手術によって児が助かったことに喜びをもつよう話す。
c.帝王切開術になったことについての気持ちを夫婦で互いに伝え合えるような場を作る。
d.児は元気であることを伝え、病室に連れてくる。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題52~54に答えよ。
51歳の女性。乳癌の再発で12月に入院してきた。状態は悪化し、終末期に入っている。自営業の夫は仕事を休み、日中は付き添っていた。仲のよい夫婦であったが、気に触ることがあると夫に怒鳴ったりしていた。入院10日目の朝、泣き叫ぶ声がするので婦長が病室に行くと、「昨夜、看護婦が暖房を切ってしまったので凍え死にそうになった」と訴えた。深夜勤の看護婦に事情を聞くと、「よく眠っていたので巡回のとき、声をかけなかったのです。明け方、冷えて寒かったということだと思いますが、何を言っても受け付けてくれないのです」と語った。
午後問題52 この状況でのアセスメントで最も考えられるのはどれか。
1.被害妄想が出現し始めている。
2.孤独で不安な気持ちが強まっている。
3.身体状態の悪化に伴い意識レベルが低下している。
4.看護婦への不信感をつのらせている。
午後問題53 今後の対応で最も重要なのはどれか。
1.看護ケアに落度がないように一層の注意を払う。
2.かかわりを最小限にして刺激を少なくする。
3.患者の言動から気持ちをくみ取る。
4.2人の看護婦で対応する。
午後問題54 患者から攻撃されることが多くなるにつれて、この患者を看護する看護婦の不安・緊張が高まり、“問題患者”としてかかわりを避けるようになってきた。
看護婦へのサポートで効果的なのはどれか。
a.夜勤体制の見直し
b.ケースカンファレンスの開催
c.リエゾン精神看護婦の活用
d.夫の協力
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題55~57に答えよ。
Aさん、21歳の男性。境界性人格障害と診断されている。家族との緊張が高まり2週前に入院した。病室内でたばこを吸ったり、病棟の規則を守らないので他の患者から苦情が出ていた。主治医との契約で外出が禁止になっていたAさんが同室の患者と喫茶店に出かけようとしていた。それを見たB看護婦が注意すると、病棟のホールにあった花瓶を床にたたきつけて割ってしまった。C主任看護婦が来て「弁償してくださいね」と強い口調で言った。その場に駆けつけたプライマリナースであるD看護婦をAさんはにらみつけて「頭にきた。退院してやる」と病室の方へ走って行った。
午後問題55 花瓶をたたきつけた行動のアセスメントで適切なのはどれか。
1.行動を制しようとしたB看護婦への反発
2.契約を破った罪責感の置き換え
3.抑えきれない怒りの表現
4.自己アピール
午後問題56 この直後にD看護婦のとる対応で適切なのはどれか。
1.Aさんを追いかけて病室に行く。
2.一緒に出かけようとしていた患者に事情を説明する。
3.割れた花瓶の後片づけをする。
4.Aさんが次の行動を起こすまで待つ。
午後問題57 今後の看護チームの対応で適切なのはどれか。
a.問題行動への対応はD看護婦のみがする。
b.家族に花瓶の弁償を求める。
c.他の患者からの苦情を本人に伝え、現実の出来事に目を向けさせる。
d.問題行動に対しては許容しない姿勢を保つ。
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
次の文を読み午後問題58~60に答えよ。
45歳の男性。転勤3か月後、「仕事に行き詰まった。死ぬしかない」と妻に打ち明けたため、妻に伴われて専門外来を受診した。うつ病の診断で入院し、抗うつ薬が処方された。入院時は食欲低下と強度の不眠があり、「会社が気になるが、いざとなると何もする気になれない」と語り、服装の乱れにも気付かない様子であった。入院4日、ふらつきと便秘があり、「具合が悪くなるばかりだ」と看護婦に訴えた。
午後問題58 入院直後の重要な観察項目はどれか。
a.水分摂取量
b.睡眠時間
c.清潔状態
d.食事摂取量
1.a、b 2.a、d 3.b、c 4.c、d
午後問題59 入院4日の患者への指導で適切なのはどれか。
1.家族との面会
2.会社への連絡
3.軽い運動
4.十分な休息
午後問題60 入院2か月後、午後には新聞に目を通す姿がみられるようになった。医師から外泊を勧められると本人は「会社や家のことを考えると、僕なんていない方がよい」と答えた。
妻への助言で適切でないのはどれか。
1.帰ってきてほしいと伝えた方がよい。
2.元気そうにみえても気持ちはまだ落ち込んだ状態である。
3.気分が午後になるとよくなってくるのは病気の特徴である。
4.自殺の危険性はこれから高くなるので気をつけてほしい。