96回国家試験 PM61-90

次の文を読み、問題61~63の問いに答えよ。
Aさん、92歳の男性。身長178cm、体重50kg。1年前から寝たきり状態で、82歳の妻と長男夫婦と同居している。食事はむせがあるが全介助で摂取できる。排泄は尿便意ともになく、おむつを使用している。介護は妻が1人で行っている。最近急に活気がなくなり、食事量が減少し、下痢が続いたため入院した。

午後問題61 入院時、体温37.6℃、脈拍数70/分。白血球9,200/μl。尿混濁が認められ尿臭が強い。水様便が5回/日。活気がなく食事は1/3程度しか食べていない。
この時点で必要とされるのはどれか。
1.輸 液
2.経管栄養
3.膀胱洗浄
4.膀胱留意カテーテルの挿入
午後問題61  解答  1
午後問題61  解説  発熱、食事量の減少、下痢から脱水状態を考える。

午後問題62 入院時の観察で両踵部に1.5cm大の浅い潰瘍を認めた。
アセスメントで最も重要なのはどれか。
1.睡眠状況
2.水分摂取量
3.全身の皮膚状態
4.下肢の関節可動域
午後問題62  解答  3
午後問題62  解説  褥瘡の確認をする。

午後問題63 食事摂取量が増加し、踵部は表皮剥離の状態である。症状も改善し退院が予定されている。
褥瘡の悪化を防ぐための妻への指導で最も適切なのはどれか。
1.日光浴を勧める。
2.踵部に円座をあてる。
3.エアーマットを使用する。
4.踵部のマッサージをする。
午後問題63  解答  3
午後問題63  解説  円座は圧迫がかかり、かえって悪化する。

状況ライン

次の文を読み、午後問題64~66の問いに答えよ。
Aくん、8歳の男児。夕方自転車で帰宅途中に転倒し、利き腕である右肘を強打した。疼痛、腫脹があり受診。単純エックス線撮影の結果、右上腕骨顆上骨折の診断を受け入院した。

午後問題64 上腕から手関節までシーネを装着した。
観察で優先度が最も高いのはどれか。
1.知覚鈍麻
2.関節拘縮
3.出血量
4.かゆみ
午後問題64  解答  1
午後問題64  解説  神経圧迫による知覚麻痺の有無を観察する。

午後問題65 入院2日後、全身麻酔下で骨接合術が施行され、その後再び上腕から手関節までシーネを装着した。1週間後にギプス固定をし、5~6週間後に抜釘術を行う予定である。
食事摂取の方法で最も適切なのはどれか。
1.食事は全介助で摂取する。
2.食べやすい流動食を提供する。
3.左手を積極的に使うようにする。
4.右手でゆっくり食べるようにする。
午後問題65  解答  3
午後問題65  解説  退院後の生活でも困らないよう援助する。

午後問題66 術後8日に上腕から手関節までギプス固定を行い、2日後に退院することになった。
指導で適切なのはどれか。
1.就寝時は右腕の下に枕を用いる。
2.入浴はギプスがとれるまで避ける。
3.ギプスがとれるまで自宅療養する。
4.外出時はギプス部位を網包帯で固定する。
午後問題66  解答  1
午後問題66  解説  患肢を挙上する。

状況ライン

次の文を読み、午後問題67~69の問いに答えよ。
生後0日の新生児。39週に3,200gで出生した。胎児診断で二分脊椎が疑われていたが、腰仙部脊髄髄膜瘤と診断され手術をすることになった。

午後問題67 手術前の看護で適切なのはどれか。
1.腹臥位の保持
2.脊髄髄膜瘤部の乾燥
3.下肢変形に対する予防
4.上肢運動障害の早期発見
午後問題67  解答  1
午後問題67  解説  手術前には髄膜瘤保護のため、腹臥位とする。

午後問題68 脊髄再建術と脳室腹腔短絡術(シャント術)が施行された。術後2日の体温39.0℃。呼吸数46/分、脈拍数130/分。脳圧亢進症状はない。
最も考えられるのはどれか。
1.髄膜炎
2.悪性高熱
3.脳ヘルニア
4.シャント閉塞
午後問題68  解答  1
午後問題68  解説  髄液がもれていると、髄液や脊髄への感染や髄膜炎が起こることがある。

午後問題69 その後、児は順調に回復し退院に向けて母親に導尿の指導を行うことになった。
適切なのはどれか。
1.導尿は朝晩2回行う。
2.導尿前後に手洗いをする。
3.カテーテルを毎回煮沸消毒する。
4.陰部をアルコール綿で消毒する。
午後問題69  解答  2
午後問題69  解説  導尿を必要とするのであれば、持続的となる。

状況ライン

次の文を読み、午後問題70~72の問いに答えよ。
7か月の乳児。昨日の昼から頻回に嘔吐があり、経口水分摂取が困難となった。夜から下痢を繰り返し、朝になって小児科外来に母親が連れてきた。受診時、顔色は不良で、うとうとしており刺激すると覚醒する状態であった。体重6,500g、体温37.0℃、呼吸数35/分、心拍数129/分。腹部は平坦で弱い腸蠕動音が聴取された。

午後問題70 母親に確認する情報で最も重要なのはどれか。
1.6か月健康診査時の体重
2.昨日朝の離乳食内容
3.昨夜の睡眠時間
4.最終おむつ交換時刻
午後問題70  解答  4
午後問題70  解説  昼からの頻回の嘔吐、経口水分摂取困難、繰り返す下痢から脱水が考えられる。

午後問題71 児の便中ロタウイルス抗原が陽性で、入院することになった。
院内感染防止のために必要な対策はどれか。
1.児が使用したシーツ類は焼却する。
2.陽圧に設定された個室に隔離する。
3.おむつ交換時は使い捨て手袋を着用する。
4.児と接触した看護師のロタウイルス抗原検査を行う。
午後問題71  解答  3
午後問題71  解説  ロタウイルスは感染力が弱いので、消毒で十分である。

午後問題72 入院後嘔吐は改善したが、下痢は続き殿部に発赤とびらんが出現した。
対応で最も適切なのはどれか。
1.絶飲食にする。
2.殿部浴を行う。
3.抗真菌剤を塗布する。
4.紙おむつから布おむつに変更する。
午後問題72  解答  2
午後問題72  解説  抗真菌薬の投与には真菌感染の確認が必要である。

状況ライン

次の文を読み、午後問題73~75の問いに答えよ。
Aさん、28歳の初産婦。妊娠26週2日。事務の仕事をしている。身長154cm、非妊時体重51kg。健康診査時、体重59kg(2週間前から2.5kgの増加)。子宮底長23cm、腹囲78cm。血圧128/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(±)。浮腫(-)。Hb11.2g/dl、Ht34.0%。

午後問題73 妊娠経過のアセスメント結果で適切なのはどれか。
1.妊娠貧血
2.妊娠糖尿病
3.過剰な体重増加
4.妊娠高血圧症候群
午後問題73  解答  3
午後問題73  解説  妊娠中期以降の1週間あたりの推奨体重増加量は0.5kgである。

午後問題74 健康診査後、「今日も有給休暇を取ってきました。お腹が大きくなり、毎日電車通勤で立ちっぱなしなのでとても疲れます」と話している。
Aさんがこの時点で取得できるのはどれか。
a.時差出勤
b.産前休暇
c.勤務時間の短縮
d.勤務時間内での妊婦健康診査の受診
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d
午後問題74  解答  2
午後問題74  解説  男女雇用機会均等法により、勤務時間の変更が義務付けられている。

午後問題75 妊娠33週0日。健康診査の結果、体重61kg、子宮底長29cm、腹囲85cm。血圧120/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。浮腫(±)。Aさんは「膝の裏の血管が膨らんで青く浮き出てきました。夕方になると足がとてもだるくなります」と言う。
Aさんに必要なのはどれか。
1.体重を減らす。
2.下肢の冷罨法を行う。
3.終日安静臥床で過ごす。
4.弾性ストッキングを着用する。
午後問題75  解答  4
午後問題75  解説  下肢の血流の循環改善のため、温罨法を指導する。

状況ライン

次の文を読み、午後問題76~78の問いに答えよ。
34歳の1回経産婦。妊娠42週0日。前回は正常分娩で、既往歴はない。誘発分娩目的で午前9時に入院した。入院時の診察所見は、子宮底長32cm、腹囲86cm。第1頭位、子宮口3cm開大、血圧124/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。

午後問題76 入院時の対応で最も適切なのはどれか。
1.産婦の呼吸音を聴診する。
2.病棟内は車いすで移動する。
3.左臍棘線上で胎児心拍数を測定する。
4.病院食以外は摂取しないように指導する。
午後問題76  解答  3
午後問題76  解説  分娩経過は正常なので、安静や車いすなどは必要ない。

午後問題77 午前10時より点滴静脈内注射による子宮収縮薬の投与が開始された。午前11時30分、産婦は「だいぶ痛くなってきました」と言っている。胎児心拍に異常はない。
最優先して観察するのはどれか。
1.排尿量
2.産痛の部位
3.食事摂取状況
4.陣痛の周期と強さ
午後問題77  解答  4
午後問題77  解説  過強陣痛に陥っていないか観察することが最優先される。

午後問題78 午後2時45分、3,100gの女児を分娩し帰室した。午後6時、子宮底は臍高でやや軟らかく、血性悪露中等量、後陣痛を軽度訴えている。
対応で最も適切なのはどれか。
1.導尿を行う。
2.頭部を挙上する。
3.下腹部を温罨法する。
4.子宮底をマッサージする。
午後問題78  解答  4
午後問題78  解説  子宮底をマッサージすることで子宮収縮が促進される。

状況ライン

次の文を読み、午後問題79~問題81に答えよ。
28歳の初産婦。妊娠36週5日。規則的な陣痛発来があり来院した。入院時診察では、子宮底長31cm、腹囲85cm、血圧130/74mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(-)。分娩監視装置を40分装着した結果、5~6分間欠の陣痛がみられ、胎児心拍数基線は130bpmであった。

午後問題79 その後、胎児心拍モニタリングで高度な変動一過性徐脈が頻発したため、帝王切開術が行われることになった。
最優先に確認すべきことはどれか。
1.破水の有無
2.産婦の体重
3.最終飲食の時間
4.手術時の夫立ち会いの有無
午後問題79  解答  3
午後問題79  解説  帝王切開を行うために麻酔が使用される。

午後問題80 帝王切開術後4時間。体温37.5℃。呼吸数18/分、脈拍数74/分。血圧128/74mmHg。尿流出量70ml/時。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)97%。子宮底の高さ臍上1指、血性悪露少量流出。創部痛がみられる。
この状態で最優先されるのはどれか。
1.体位変換を行う。
2.水分摂取を促す。
3.授乳を開始する。
4.尿量を医師に報告する。
午後問題80  解答  1
午後問題80  解説  尿量は正常である。

午後問題81 出生した新生児は2,600g。アプガースコアは1分後8点。出生直後から多呼吸がみられたため、保育器に収容された。生後2日、体重2,470g、体温37.0℃。呼吸数42/分、心拍数132/分。チアノーゼはない。総ビリルビン値5.0mg/dl、頭部に黄染がみられる。四肢の動きは活発である。
対応で適切なのはどれか。
1.光線療法の準備をする。
2.経鼻胃管で母乳を与える。
3.コットへの移床準備を行う。
4.24時間明るい環境を維持する。
午後問題81  解答  3
午後問題81  解説  バイタルサインが安定しているので経鼻胃管の必要はない。

状況ライン

次の文を読み、午後問題82~84の問いに答えよ。
29歳の男性。会社員。自宅で両親と同居。家族関係は良い。3か月前に業務が変わり、残業が増えた。1か月前から「仕事がつらい」と言うようになった。その頃から、胃部不快、食欲不振、全身倦怠感、不眠が出現した。内科を受診したところ、精神科の受診も勧められた。精神科では抗不安薬と睡眠薬とが処方された。内科で上部消化管内視鏡検査の予約をして帰宅したが、3日後「症状が良くならないし、どうしたらよいかわからない。考えると息が苦しくなって座り込んでしまう」と訴えて再受診し、精神科病院の開放病棟に任意入院した。

午後問題82 患者は、心配そうな表情で「どうしたらいいんだろう」と看護師に訴えた。
患者の訴えで最も強い苦痛はどれか。
1.腹 痛
2.不 安
3.不 眠
4.拒 食
午後問題82  解答  2
午後問題82  解説  不安が最も強い苦痛と思われる。

午後問題83 内視鏡検査の結果、十二指腸潰瘍と診断された。
患者の状態はどれか。
1.心身症
2.常動症
3.摂食障害
4.行為障害
午後問題83  解答  1
午後問題83  解説  心身症は発症や経過に心理社会的因子が密接に関与する。

午後問題84 入院5日、患者は「だいぶ調子が良くなりました。退院したら生活変えなくちゃいけませんよね。何を変えたらいいでしょう」と看護師に質問した。
最も適切な対応はどれか。
1.「寝具について考えましょう」
2.「転居について考えましょう」
3.「適度な仕事量について考えましょう」
4.「食事量を増やすことを考えましょう」
午後問題84  解答  3
午後問題84  解説  仕事量を加減することを指導する。

状況ライン

次の文を読み、午後問題85~87の問いに答えよ。
Aさん、46歳の男性。体型はやせ型。会社員で営業部門の担当である。最近になり帰宅後も仕事関係のメールのやり取りに追われ、深夜まで仕事をする日々が続いた。「体の疲れがとれず、寝つきが悪く、やっと眠っても2時間程度で目が覚めてしまう。眠らなくてはと思うが、起き上がってパソコンに向かってしまう。食事をしても味がせず、頑張って仕事をしても自分の存在が全く意味がないように感じる」と話す。体重が1か月で3kg減少したため、心配した妻に伴われ受診した。

午後問題85 Aさんのアセスメントで正しいのはどれか。
1.躁状態
2.うつ状態
3.せん妄状態
4.幻覚・妄想状態
午後問題85  解答  2
午後問題85  解説  抑うつ感情が中心になっている。

午後問題86 Aさんに選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が処方された。妻は「このお薬は、ふつうはどれ位で効くのでしょうか」と看護師に質問した。
妻への説明で適切なのはどれか。
1.「3~6時間で効果が現れます」
2.「12~24時間で効果が現れます」
3.「1~2週間で効果が現れます」
4.「1~2か月で効果が現れます」
午後問題86  解答  3
午後問題86  解説  抗うつ薬には、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、MAOなどがある。

午後問題87 Aさんが受診した翌日、会社の上司から「本人から受診したことを聞いたが、勤務体制を考える上で参考にしたいのでAさんの状態を教えてほしい」という電話があった。
電話を受けた看護師の対応で適切なのはどれか。
1.電話で状態を伝えた。
2.質問には答えられないと伝えた。
3.家族に直接尋ねるように伝えた。
4.担当医の許可を得ないと話せないと伝えた。
午後問題87  解答  2
午後問題87  解説  個人情報保護法の観点から本人以外には情報開示できない。

状況ライン

次の文を読み、午後問題88~90の問いに答えよ。
54歳の女性。統合失調症により外来治療中であったが、幻覚妄想状態が悪化したため入院した。入院後2か月が経過し状態は安定してきた。最近、担当看護師に「何でいつも私だけがあなたに薬のことばかり言われなければならないの。薬はもう嫌よ。あなたが私を悪くさせているのよ」と被害的な発言をするようになった。

午後問題88 患者への最初の声かけで適切なのはどれか。
1.「きちんと薬を飲んでください」
2.「何で薬を飲まないのですか」
3.「薬を飲んだか確認させてください」
4.「薬を飲むと具合が悪くなるのですか」
午後問題88  解答  4
午後問題88  解説  まず薬を飲む患者の気持ちを受け入れる。

午後問題89 患者は服薬後すぐにトイレに行き、舌下に隠した錠剤を吐き出すようになった。精神症状の悪化は服薬できていないことが一因であると考えられた。
患者の服薬への援助で最も適切なのはどれか。
1.水薬を食物に混入して投与する。
2.患者が錠剤を嚥下するまで見守る。
3.患者に服薬を自己管理するよう勧める。
4.薬剤師から服薬指導を受けるよう勧める。
午後問題89  解答  2
午後問題89  解説  治療のために服薬は必要なので錠剤を飲み込むまでを見守る。

午後問題90 患者は服薬を継続するようになり、精神状態が安定してきた。担当看護師に「あの時はすみませんでした。あなたは何も悪くなかったのにあんなことを言ってしまって」と話すようになった。
患者への援助で適切なのはどれか。
1.服薬教室への参加を勧める。
2.服薬の確認を厳重にする。
3.被害妄想の有無を確認する。
4.持続性製剤(デポ剤)使用を検討する。
午後問題90  解答  1
午後問題90  解説  薬を勝手に中断すると再発することがあるため服薬教室への参加を勧める。

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