108回国家試験 PM61-90

問題61 知的障害〈精神遅滞〉の原因となる疾患はどれか。
1.統合失調症
2.フェニルケトン尿症
3.Alzheimer〈アルツハイマー〉病
4.Creutzfeldt-Jakob〈クロイツフェルト・ヤコブ〉病
問題61 解答 2
問題61 解説 フェニルケトン尿症(PKU)はアミノ酸代謝異常症の1つであり,血清中フェニルアラニン濃度の上昇による認知および行動障害を伴う知的障害の臨床症候群である。

問題62 Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。
最も考えられる疾患はどれか。
1.睡眠時遊行症
2.ナルコレプシー
3.睡眠時無呼吸症候群
4.睡眠・覚醒スケジュール障害
問題62 解答 2
問題62 解説 ナルコレプシーは物質または生理学的作用によるものではない睡眠発作が、何年間にもわたってみられる。

問題63 現在の日本の精神医療で正しいのはどれか。
1.精神保健福祉センターは各市町村に設置されている。
2.精神病床に入院している患者の疾患別内訳では認知症が最も多い。
3.精神障害者保健福祉手帳制度によって通院医療費の給付が行われる。
4.人口当たりの精神病床数は経済協力開発機構〈OECD〉加盟国の中では最も多い。
問題63 解答 4
問題63 解説 OECD 平均は 10 万人当たり 68 床であるところ、日本は 269 床である。

問題64 Aさん(60歳、女性)は、統合失調症で10年間入院していた。来月退院予定となったため、Aさん、医師、看護師でチームを作り、退院支援計画を立てることになった。Aさんは「両親も亡くなってしまい、これからの生活費や住む場所がとても心配だ」と訴えてきた。
退院支援を進めるにあたり、チームに加わるメンバーで最も適切なのはどれか。
1.薬剤師
2.精神保健福祉士
3.ピアサポーター
4.臨床心理技術者(臨床心理士・公認心理師等)
問題64 解答 2
問題64 解説 精神保健福祉士は、心に病を抱えた人がスムーズに生活を営めるように、相談や生活支援、助言、訓練、社会参加の手助け、環境調整などを行う。

問題65 訪問看護制度で正しいのはどれか。
1.管理栄養士による訪問は保険請求できる。
2.精神科訪問看護は医療保険から給付される。
3.医療処置がなければ訪問看護指示書は不要である。
4.訪問看護事業所の開設には常勤換算で3人以上の看護職員が必要である。
問題65 解答 2
問題65 解説 精神科訪問看護・指導料は医療保険の種類により、負担割合が異なる。

問題66 Aさん(85歳、女性)は、1人暮らし。日常生活は自立しており、健康のために毎日20~30分のウォーキングをしている。夜間は、廊下を歩いて1、2回トイレに行く。
Aさんの現時点での家屋環境の整備で最も優先されるのはどれか。
1.便座の高さを高くする。
2.廊下に手すりを設置する。
3.トイレの扉を引き戸にする。
4.廊下に足元照明を設置する。
問題66 解答 4
問題66 解説 日常生活は自立しているため、廊下の手すりの設置やトイレの扉の変更は優先度が低い。夜間に、トイレへ歩いていくため、便座の高さの変更は必要ないが、廊下の足元照明があると、転倒の不安が軽減される。

問題67 Aさん(52歳、男性、独身)は、銀行員。切除不能の大腸癌と診断され、外来で抗癌薬の点滴静脈内注射を受けることになった。Aさんは「治療を受けながら仕事を続けたいのですが、どうすれば良いか教えてください」と外来看護師に相談した。
外来看護師が行うAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
1.「所属部署の変更を上司に申し出ましょう」
2.「副作用が出てから対応を考えましょう」
3.「会社の健康管理部門に相談しましょう」
4.「有給休暇を使って治療を受けましょう」
問題67 解答 3
問題67 解説 在宅の癌治療は周囲の理解で必要となり、職場の協力が必要不可欠なので、健康管理部門と相談して今後の方針を検討するように促す。

問題68 家族からネグレストを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。
この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。
1.権利擁護
2.総合相談支援
3.介護予防ケアマネジメント
4.包括的・継続的ケアマネジメント支援
問題68 解答 1
問題68 解説 権利擁護とは、判断能力の低下により金銭管理ができなくなった高齢者に、金銭的搾取や詐欺から身を守るための成年後見制度の活用をサポートしたり、虐待被害の対応、防止、早期発見を行ったりと、高齢者の権利を守る取り組みである。

問題69 病院では、育児中の時短勤務、夜勤専従、非常勤など多様な労働時間や雇用形態の看護師が働いている。
看護管理者が行うマネジメントで最も優先するのはどれか。
1.夜勤専従の看護師の休暇を増やす。
2.育児中の看護師の院内研修を免除する。
3.非常勤看護師は患者の受け持ちを免除する。
4.特定の看護師に仕事が集中しないよう調整する。
問題69 解答 4
問題69 解説 看護管理の目的は、限られた経費の中で、より質の良い医療を提供すること。そのため、特定の看護師に仕事が集中することは、最適な人的資源の管理ができていないことになる。

問題70 診療情報の取り扱いで適切なのはどれか。
1.診療情報の開示請求は患者本人に限られる。
2.医療者は患者が情報提供を受けることを拒んでも説明する。
3.2類感染症の届出は患者本人の同意を得なければならない。
4.他院へのセカンドオピニオンを希望する患者に診療情報を提供する。
問題70 解答 4
問題70 解説 セカンドオピニオンとは現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めること。

問題71 医療法における病院の医療安全管理体制で正しいのはどれか。
1.医療安全管理のために必要な研修を2年に1回行わなければならない。
2.医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
3.特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
4.医薬品安全管理責任者の配置は義務ではない。
問題71 解答 2
問題71 解説 医療法施行規則第一条の十一に規定。

問題72 看護師等の人材確保の促進に関する法律における離職等の届出で適切なのはどれか。
1.届出は義務である。
2.届出先は保健所である。
3.離職を予定する場合に事前に届け出なければならない。
4.免許取得後すぐに就職しない場合は届け出るよう努める。
問題72 解答 4
問題72 解説 どのような場所で働いていても、看護職が仕事を辞めた場合は、全て届出の対象となる。

問題73 国際社会が抱えるヘルスケアを含む課題に対して、すべての国に適用される普遍的(ユニバーサル)な目標で、2015年の国連サミットで採択されたのはどれか。
1.ヘルスフォーオール21(Health For All in the 21st century:HFA21)
2.ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)
3.持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)
4.国連開発目標(International Development Goals:IDGs)
問題73 解答 3
問題73 解説 持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標。

問題74 採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。
クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
1.トロンビン
2.プラスミン
3.カルシウムイオン
4.ナトリウムイオン
5.フィブリノーゲン
問題74 解答 3
問題74 解説 クエン酸塩が血液凝固の第Ⅳ因子であるカルシウムイオンと結合し、解離度の低いクエン酸カルシウムとなるため、血液凝固阻止作用を現す。

問題75 胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素はどれか。
1.アミラーゼ
2.キモトリプシン
3.トリプシン
4.ペプシン
5.リパーゼ
問題75 解答 4
問題75 解説 胃ペプシンは活性化してペプシンとなり、蛋白分解酵素としてはたらく。

問題76 成人で、骨髄が脂肪組織になっているのはどれか。
1.寛 骨
2.胸 骨
3.大腿骨の骨幹
4.椎骨の椎体
5.肋 骨
問題76 解答 3
問題76 解説 造血作用を失ったもので、成人の骨髄はほとんど脂肪組織からなる黄色骨髄である。

問題77 膵臓と産生されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
1.膵 臓  ――― グルカゴン
2.副 腎  ――― プロラクチン
3.腎 臓  ――― アルドステロン
4.脳下垂体 ――― インクレチン
5.視床下部 ――― テストステロン
問題77 解答 1
問題77 解説 膵臓は、消化液(膵液)を小腸に分泌する外分泌機能と、インスリン(β細胞)やグルカゴン(α細胞)を出す内分泌機能がある。

問題78 抗甲状腺薬の副作用(有害事象)で正しいのはどれか。
1.頻 脈
2.肝障害
3.低血糖
4.不整脈
5.眼球突出
問題78 解答 2
問題78 解説 抗甲状腺薬の副作用は顆粒球減少、肝障害、かゆみ、じんま疹などがみられる。

問題79 Barthel〈バーセル〉インデックスで評価するのはどれか。
1.栄養状態
2.疼痛の強さ
3.褥瘡の深さ
4.日常生活動作
5.呼吸困難の程度
問題79 解答 4
問題79 解説 Barthel〈バーセル〉インデックスは日常生活動作(ADL)を評価する。10項目構成による20項目分類で、各項目ごとに、自立、部分介助、最小限介助で点数を合計する。すべて自立していると100点になる。

問題80 急性心筋梗塞患者の合併症を早期に発見するための徴候で正しいのはどれか。
1.皮疹の出現
2.頻脈の出現
3.時間尿の増加
4.腹壁静脈の怒張
5.うっ血乳頭の出現
問題80 解答 2
問題80 解説 心拍数が増加している状態である。

問題81 Alzheimer〈アルツハイマー〉型認知症の患者にみられる実行機能障害はどれか。
1.シャツを前後反対に着る。
2.調理の手順がわからなくなる。
3.物音がすると食事を中断する。
4.鏡に映った自分の姿に話しかける。
5.歯ブラシで髪の毛をとかそうとする。
問題81 解答 2
問題81 解説 前駆症状として抑うつ、自発性の低下、焦燥感が現れる。見当識障害、記憶障害などを伴って認知が緩やかに発症するが、判断能力、認知能力は持続的に低下する。

問題82 副交感神経を含む脳神経はどれか。2つ選べ。
1.嗅神経
2.視神経
3.動眼神経
4.三叉神経
5.迷走神経
問題82 解答 3,5
問題82 解説 動眼神経は運動神経で、眼球を動かす。上眼瞼を挙上(開眼)する。副交感神経は瞳孔縮小、水晶体の厚さを調節する。
迷走神経の感覚神経は外耳道、咽頭、喉頭の運動と知覚を支配する。副交感神経は頚部・胸部、腹部の臓器の機能を調節する。

問題83 糖尿病性腎症の食事療法で制限するのはどれか。2つ選べ。
1.脂 質
2.塩 分
3.蛋白質
4.炭水化物
5.ビタミン
問題83 解答 2,3
問題83 解説 糖尿病による高血糖状態により糖尿病細小血管症という血管病変が生じ、糸球体に硬化性病変(糸球体硬化症)を生じる。腎臓に負担をかけないよう、塩分と蛋白質の摂取は控える。

問題84 アナフィラキシーショックで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.徐脈になる。
2.重症例では死に至る。
3.気道粘膜の浮腫を生じる。
4.Ⅲ型アレルギー反応である。
5.副腎皮質ステロイドは禁忌である。
問題84 解答 2,3
問題84 解説 マスト細胞や好塩基球に結合したIgE抗体と抗原との反応の結果、ヒスタミン、ロイコトリエンなどのさまざまな化学物質が遊離され、低血圧、呼吸困難、じんま疹などの症状が出現する。

問題85 前立腺肥大症で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.進行すると水腎症となる。
2.外科治療は経尿道的前立腺切除術を行う。
3.直腸診で石の様な硬さの前立腺を触知する。
4.前立腺を縮小させるために男性ホルモン薬を用いる。
5.前立腺特異抗原〈prostate specific antigen:PSA〉値が100ng/mL以上となる。
問題85 解答 1,2
問題85 解説 尿管や腎盂の出口が狭窄すると、上部の尿路は拡張、腎盂も拡張して腎実質は萎縮する。萎縮が高度になると腎臓は尿を入れた袋のような状態になり、これを水腎症という。

問題86 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく五類感染症はどれか。2つ選べ。
1.後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
2.腸管出血性大腸菌感染症
3.つつが虫病
4.日本脳炎
5.梅 毒
問題86 解答 1,5
問題86 解説 五類感染症は、国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症。

問題87 感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。
1.短文で話しかける。
2.身振りを加えて話す。
3.多くの話題を提供する。
4.耳元に近づき大きな声で話す。
5.open-ended question〈開かれた質問〉を用いる。
問題87 解答 1,2
問題87 解説 話し方は滑らかだが、言い間違いが目立つ発話で、特に聴いて理解することの障害と真似して言うことの障害を特徴とする。

問題88 交通事故によって脊髄損傷で入院した下肢に麻痺のある成人患者。
職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.自己導尿は自宅で行う。
2.仕事中は飲水を制限する。
3.車椅子には体圧分散マットを使用する。
4.残業する場合の休憩時間は不要である。
5.職場の担当者に自分の病気について伝える。
問題88 解答 3,5
問題88 解説 体圧分散マットの使用が褥瘡予防のため、長時間の座位保持には有効である。

問題89 人工肛門を造設した患者へのストーマケアの指導内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
1.装具の交換は便が漏れない限り不要である。
2.装具をはがした時は皮膚保護材の溶解の程度を観察する。
3.洗浄後のストーマはドライヤーで乾かす。
4.装具の穴はストーマと同じ大きさにする。
5.装具を貼る時は腹壁のしわを伸ばす。
問題89 解答 2,5
問題89 解説 よく温湯洗浄をした後、皮膚に僅かに残った粘着材はあえて除去しない。

問題90 妊娠36週の妊婦にNST〈non-stress test〉を行うため、分娩監視装置を装着することになった。
妊婦への説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.「胎児の健康状態を判定します」
2.「所要時間は10分です」
3.「排尿を済ませて下さい」
4.「仰向けで行います」
5.「固定用ベルトを1本使用します」
問題90 解答 1,3
問題90 解説 子宮収縮、胎児徐脈がみられないことを確認した上で、胎動や刺激に伴って一過性頻脈(20分間に2回以上、15bpm以上15秒以上)が起これば胎児は健康である。

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