86回国家試験 PM31-60

次の文を読み午後問題31~33に答えよ。
83歳の女性。息子夫婦との三人暮らし。趣味は園芸。3年前から物忘れがひどくなり、コミュニケーションも徐々に困難となった。日中はトイレに誘導し夜はおむつを使用している。3日前から風邪をひき、食べられなくなったため入院した。入院時、息子は「母の反応がいつもより鈍い。」、「介護に疲れた。」、「悩みを話せる人がいない。」と言っていた。入院5日後には食事もできるようになったが、夜になると帰宅要求が強く徘徊と不眠とがみられた。アルツハイマー型老年痴呆と診断された。

午後問題31 入院時の看護で優先度が低い情報はどれか。
1.家での過ごし方
2.生活歴
3.病識の有無
4.見当識の程度

午後問題32 夜間の徘徊時の対応として適切でないのはどれか。
1.花の水やりを日課に取り入れる。
2.徘徊時の行動を分析する。
3.息子夫婦の面会を制限する。
4.徘徊に付き合う。

午後問題33 食事ができるようになり、退院することになった。
息子への助言として適切でないのはどれか。
1.病気の特徴について説明する。
2.利用可能な社会資源を紹介する。
3.息子夫婦自身の楽しみを見い出すよう勧める。
4.隣人との接触は避けるよう説明する。

状況ライン

次の文を読み午後問題34~36に答えよ。
45歳の男性。妻と子ども二人との四人暮らし。自営業。26歳ころから不眠のため飲酒をするようになった。ここ数年飲む機会が多くなり、1日の酒量は日本酒で5合ぐらいになっている。仕事は妻に任せきりで、夜も昼も飲み続けて5日ぐらい食事を全く摂取しないことがある。今回、失禁で汚れた姿で妻と共に来院し、4回目の入院となった。落ち着きがなく、盛んに動き回り、「虫が体をはい回っている。」と訴えている。日付や曜日を聞いても答えられず、妻が自分を責めることや近所の人が自分のうわさをしていることなどを話すが、うまく会話が成り立たない。

午後問題34 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
a.振戦せん妄がある。
b.もうろう状態にある。
c.心気状態である。
d.被害妄想がある。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題35 入院当日の看護で適切なのはどれか。
a.食事摂取を促す。
b.静かな環境をつくる。
c.入浴を介助する。
d.夜間は部屋を暗くする。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題36 社会復帰に向けての看護目標で適切でないのはどれか。
1.規則正しい生活ができる。
2.妻が地域の家族会に参加する。
3.自分の欲求を言葉で表現できる。
4.退院後の飲酒量は1日1合までとする。

状況ライン

次の文を読み午後問題37~39に答えよ。
生後4日の新生児。在胎39週5日に3,100gで出生した。胎便の排泄遅延、腹部膨満、嘔吐、黄疸および体重減少がみられた。検査の結果、ヒルシュスプルング病と診断された。

午後問題37 現在みられる症状のうち本症に直接関係ないのはどれか。
1.腹部膨満
2.嘔 吐
3.黄 疸
4.体重減少

午後問題38 2日後、人工肛門造設術が行われた。
術後の看護で最も優先度が低いのはどれか。
1.肺合併症の予防
2.術後イレウスの予防
3.電解質の管理
4.創部の感染予防

午後問題39 術後の経過も順調で、退院に向けて両親への指導が開始された。看護師は「人工肛門から腸液がたくさん出て、ただれやすいので、注意してください。」と説明している。
人工肛門の部位で最も考えられるのはどれか。
1.十二指腸
2.回 腸
3.下行結腸
4.S状結腸

状況ライン

次の文を読み午後問題40~42に答えよ。
小学5年生の男児。鉄棒から落下して右肘をついた。背中を丸め、右前腕を抱え込んで泣きながら「手に力が入らない。」と言っている。骨折が疑われたので近くの整形外科医院を受診した。エックス線撮影の結果、上腕骨顆上骨折と診断された。

午後問題40 最も起こりにくい徴候はどれか。
1.疼 痛
2.異常可動性
3.腫 脹
4.陥 没

午後問題41 電話で両親の同意を得て直ちに入院し、介達牽引が開始された。入院は本人にとって初めての経験であり「まだお母さんは来ないのかなあ。」と何度もつぶやくなど不安気な様子であった。看護の初期計画として優先順に①牽引有効性の維持、②気分転換の促進、③セルフケアの促進の三つの目標をあげた。
この目標設定について最も適切な評価はどれか。
1.妥当である。
2.3つの目標は十分であるが優先順位を変更すべきである。
3.②、③よりも優先すべき目標がある。
4.不適切な目標が含まれている。

午後問題42 3週後に牽引を外してギブス固定をした。
起こり得ない合併症はどれか。
1.橈骨神経麻痺
2.正中神経麻痺
3.フォルクマン拘縮
4.腕神経叢麻痺

状況ライン

次の文を読み午後問題43~45に答えよ。
5歳の男児。昨日から顔がむくんでいる感じがあり、活気もなかった。今朝になって頭痛、食欲低下があり来院した。肉眼的血尿と全身的な浮腫とが認められ入院した。体温37.8℃。呼吸数26/分。脈拍数120/分。血圧138/82mmHg。検査の結果、急性糸球体腎炎と診断された。

午後問題43 急性期の観察で最も注意を要する症状はどれか。
1.発 熱
2.多 尿
3.高血圧
4.体重減少

午後問題44 急性期の看護で最も優先すべき項目はどれか。
1.安 静
2.保 温
3.エネルギー量の制限
4.二次感染の予防

午後問題45 10日後、尿所見と腎機能とが正常になった。
退院指導の内容で適切なのはどれか。
1.入浴は制限する。
2.外遊びは禁止する。
3.水分制限は必要ない。
4.1日3回、試験紙で尿検査をする。

状況ライン

次の文を読み午後問題46~48に答えよ。
6か月の乳児。数日前から、鼻汁、咳、発熱などの風邪症状があり、一昨日から39℃台の高熱となった。近医で処方された抗生薬や解熱薬を使っても効果は全くなく、目の充血、不定形発疹も現れたので来院し、川崎病の疑いで入院した。体温39.2℃。呼吸数40/分。脈拍数142/分。血圧96/48mmHg。

午後問題46 入院時の症状の観察で優先度が低いのはどれか。
1.頸部リンパ節腫脹
2.手指の紅斑
3.口唇の発赤
4.出血斑

午後問題47 検査の結果、川崎病と診断された。
急性期の看護で適切なのはどれか。
1.体温は36℃台に維持する。
2.泣いたらすぐ抱くようにする。
3.哺乳を禁止する。
4.発疹に副腎皮質ステロイド軟膏を塗る。

午後問題48 アスピリン療法で症状が改善した。
退院後も持続してアスピリンを内服する理由で誤っているのはどれか。
1.発熱予防
2.血液凝固予防
3.冠動脈瘤予防
4.血管炎予防

状況ライン

次の文を読み午後問題49~51に答えよ。
23歳の初産婦。妊娠35週3日に破水した後、陣痛が発来し入院した。入院後3日間、陣痛を抑える処置を受けたが効果がなく2,300gの男児を出産した。分娩の所要時間は10時間で分娩第2期に時間を要し、胎児仮死で鉗子分娩が行われた。出生1分後のアプガースコアは6点、口腔内の吸引などが行われ、10分後にアプガースコアが9点になった。保育器への収容を計画し準備した。

午後問題49 この新生児のアセスメントで正しいのはどれか。
a.正期産児である。
b.低出生体重児である。
c.感染の危険性がある。
d.1分後のアプガースコアは正常である。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題50 新生児は保育器に収容された。
生後1日の新生児の看護で適切なのはどれか。
a.低血糖状態に注意する。
b.頭部を低くし頭蓋内圧を下げる。
c.黄疸に注意する。
d.呼吸状態に注意する。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題51 母親は母乳哺育を希望している。
産褥2日の母親への看護で適切でないのはどれか。
1.母児接触の有効性について説明する。
2.新生児と接触する際には手洗いをするよう説明する。
3.母乳は産褥3日から開始するよう説明する。
4.新生児の経過について説明する。

状況ライン

次の文を読み午後問題52~54に答えよ。
36歳の経産婦。夫、4歳と2歳の子どもの四人暮らし。妊娠37週に2,600gの女児を分娩した。胎盤の娩出が不完全なため、胎盤鉗子で子宮内容物を除去した。出血量は680mlであった。産褥2日の朝、疲れを訴え食欲もなく無気力な様子で授乳も休んでいる。乳房に軽度の熱感と緊満とがある。子宮底は臍高で軟らかい。体温37.0℃。脈拍数76/分。血圧110/80mmHg。

午後問題52 考えられるのはどれか。
1.妊娠中毒症軽症
2.マタニティ・ブルー
3.子宮復古不全
4.乳腺炎

午後問題53 産褥2日の看護で最も優先するのはどれか。
1.水分摂取を制限するよう説明する。
2.睡眠の環境を整える。
3.乳房の冷罨法を勧める。
4.子宮の輪状のマッサージを行う。

午後問題54 退院指導の項目で適切でないのはどれか。
1.養育医療
2.栄 養
3.家族計画
4.乳房の管理

状況ライン

次の文を読み午後問題55~57に答えよ。
29歳の既婚女性。特別養護老人ホームのヘルパー。無月経を主訴に来院した。最終月経は12月29日から5日間、月経周期は28日である。免疫学的妊娠反応は陽性、内診で妊娠性変化が確認され、妊娠8週0日と診断された。「結婚して2年、夫も子どもを希望していたのでうれしい。」、「6か月前から基礎体温を測定していた。」、朝、「吐き気が強く、ひどい時には吐いてしまいつらい。」、「仕事がおなかの子どもに負担をかけてしまうのではないかと心配だ。」と話す。

午後問題55 誤っているのはどれか。
1.ネーゲル概算法による分娩予定は10月6日である。
2.超音波断層法で胎児心拍動を確認できる。
3.基礎体温は高温相を呈している。
4.子宮の大きさは手拳大である。

午後問題56 この時期にみられる妊娠性変化はどれか。
a.シュレーデル徴候
b.キュストネル徴候
c.ピスカツェック徴候
d.ヘガール徴候
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題57 この日の指導で適切でないのはどれか。
1.仕事の内容を確認する。
2.母子健康手帳の活用を勧める。
3.次回の妊婦健康診査は6週後であると説明する。
4.性器出血に注意するよう説明する。

状況ライン

次の文を読み午後問題58~60に答えよ。
29歳の初産婦。妊娠39週4日。本日、午前3時から10分間欠の陣痛が発来し、午前8時に夫に付き添われ入院した。「夫と一緒に出産準備教室にずっと通い、楽しみにしていた日がようやくきた。」と笑顔で話していた。入院時の陣痛間欠は5分、発作は20秒であった。子宮底長は33cm、レオポルド触診法で産婦の右側腹部に胎児の小部分を触れ、下腹部に硬い球状のものを触れた。内診の結果、子宮口は3cm開大し分娩経過は順調である。昨日から軟便気味で来院前に排便があった。正午には体温37.2℃。脈拍数76/分。陣痛間欠は3分、発作は30秒で未破水である。粘血性のおりものが増量してきた。産婦は昼食をとらず、ベッド上で体を硬くして「隣りのベッドの人に先を越された。いつ生まれるのかしら。」と涙ぐむ。夫は産婦の傍らで心配そうな顔をしている。

午後問題58 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
a.分娩第Ⅰ期である。
b.胎児は第2頭位である。
c.浣腸は必要である。
d.廊下歩行は可能である。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題59 正午の時点の看護で適切なのはどれか。
a.飲食をしないよう指導する。
b.努責を開始するよう指導する。
c.排尿の状態を確認する。
d.気分転換を図るよう働きかける。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題60 夫への指導で適切でないのはどれか。
1.現在の分娩経過を説明する。
2.異常出血が考えられると説明する。
3.産婦がリラックスできる方法を指導する。
4.立ち会い分娩の希望を確認する。

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