88回国家試験 PM1-30

次の文を読み午後問題1~3に答えよ。
45歳の男性。会社員。妻と娘との3人暮らしである。2か月前から全身倦怠感を強く感じるようになり、顔面と下肢とに浮腫が出現したため受診し入院した。体重は2週間で7kg増加している。腹部膨満感および息切れがあり、食欲も低下している。血液検査の結果、総蛋白4.2g/dl、血清アルブミン1.8g/dl、総コレステロール318mg/dl、尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、赤沈50mm/1時間である。尿検査の結果、尿蛋白6.5g/日、尿糖(-)、赤血球1~2/1視野、尿量600~650ml/日、尿比重1.017である。胸部エックス線所見では胸水の貯留が認められた。

午後問題1 入院時のアセスメントで適切なのはどれか。
1.栄養状態は正常である。
2.胸水は浸出性である。
3.乏尿である。
4.易感染の状態である。

午後問題2 入院時の看護で適切なのはどれか。
1.水分摂取を促す。
2.臥床時は水平な体位をとるように勧める。
3.塩分制限の必要性を説明する。
4.浮腫が消失するまで清拭はしない。

午後問題3 入院1週後の腎生検により糸球体腎炎と診断され、副腎皮質ステロイド療法が開始されることになった。自己管理の必要性について説明しようとすると「先生にすべてお任せしたので必要ない」と言っている。一方、副腎皮質ステロイド療法に対する不安を訴えている。
看護で適切なのはどれか。
1.自己管理する気になるまで病態の説明はしない。
2.副腎皮質ステロイド薬の免疫抑制作用を説明する。
3.食欲の亢進は改善の兆しであることを説明する。
4.退院後は日常生活の規制がないことを説明する。

状況ライン

次の文を読み午後問題4~6に答えよ。
62歳の女性。共働きの息子夫婦と同居し家事と5歳の孫の世話をしている。コーヒーが大好きで、趣味は海外旅行である。10年前から高血圧と高脂血症とを指摘され降圧薬を服用している。2年前から労作時に胸部圧迫感が出現した。今朝、排便後に胸痛があり来院した。身長153cm、体重60kg。血圧150/102mmHg。心電図でST低下があった。血清CKは正常である。不安定狭心症と診断され入院した。

午後問題4 入院初期の看護で適切なのはどれか。
a.心電図のモニタリングを行う。
b.コーヒー1~2杯/日は許可する。
c.口渇時は冷たい飲み物を勧める。
d.努責せずに排便できるよう工夫する。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題5 心臓リハビリテーション実施中の看護で適切でないのはどれか。
1.食後20分間安静を保った後に開始する。
2.ニトログリセリンを携帯して行うようにする。
3.心拍数が110/分を超えた場合は一時中断する。
4.収縮期血圧が20mmHg以上下降した場合は中止する。

午後問題6 入院1か月後、退院の予定となった。
退院時の生活指導で適切なのはどれか。
1.家事や孫の世話は入院前と同じでよい。
2.入浴時の湯温は42~43℃とする。
3.当面、海外旅行は禁止する。
4.3か月で標準体重まで減量する。

状況ライン

次の文を読み午後問題7~9に答えよ。
33歳の女性。夫婦2人暮らしである。ひとりで夕食にさしみを食べたところ、翌日の明け方から嘔気が始まり、食物残渣物を嘔吐した。その後、激しい腹痛と下痢とが続き血便がみられ受診し入院した。入院時の体温38.7℃。脈拍数102/分。呼吸数21/分。血圧128/68mmHg。腸炎ビブリオによる食中毒が疑われた。

午後問題7 入院時のアセスメントで正しいのはどれか。
1.毒素型食中毒が考えられる。
2.隔離病棟への入院が必要である。
3.水分出納のバランスが乱れやすい。
4.排便ごとに便培養が必要である。

午後問題8 入院直後の看護で適切なのはどれか。
a.腹痛時は温罨法を行う。
b.嘔吐が止まるまで飲水を禁止する。
c.室内を暗くする。
d.排便後肛門洗浄を行う。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題9 便から腸炎ビブリオが検出され、さしみが原因だと判断された。その後、便中の菌が陰性となり退院することになった。
退院時の指導で適切なのはどれか。
1.生食する生鮮魚介類は2~3%の食塩水でよく洗う。
2.冬期に発生しやすいので注意する。
3.夫への伝染の心配はない。
4.菌の死滅には100℃で数分間の煮沸が必要である。

状況ライン

次の文を読み午後問題10~12に答えよ。
23歳の女性。両親と21歳の弟との4人暮らしである。6か月前から疲れやすく、頭痛、耳鳴、めまいがあった。1週前から37℃台の発熱が出現し、歯磨き時に歯肉出血もみられ入院した。体温38.5℃。脈拍数100/分。赤血球180万/mm3、Hb6.8g/dl、Ht16.8%、網赤血球1‰、白血球1,300/mm3、血小板16,000/mm3。骨髄穿刺液は脂肪に富み、有核細胞数17,000/mm。再生不良性貧血と診断された。両親の動揺は大きく、本人の前で涙を流す場面がみられた。

午後問題10 入院時のアセスメントで適切でないのはどれか。
1.出血傾向がある。
2.日和見感染を起こしやすい。
3.活動制限が必要である。
4.無効造血がみられる。

午後問題11 看護で適切なのはどれか。
a.綿棒での口腔清拭を行う。
b.鉄分を多く含む食物を勧める。
c.両親の面会を制限する。
d.陰部洗浄を行う。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題12 免疫抑制療法を行ったが無効であった。幸い、弟とHLAタイプが一致したので骨髄移植を行うことになった。
患者への説明で正しいのはどれか。
1.全身麻酔をしたうえで移植を受ける。
2.同胞間の移植では生着不全はない。
3.2~3週間は無菌室から出ることができない。
4.無菌室では安静臥床が必要である。

状況ライン

次の文を読み午後問題13~15に答えよ。
69歳の男性。67歳の妻と2人暮らしである。30年前から現在の家に住んでいる。定年まで会社に勤めていた。娘は2人いるが、結婚して近県に住んでいる。2年前から話のつじつまが合わないことが多くなったが、妻は年のせいと思っていた。最近、家の中をうろうろ歩き回り1人で外出して、道に迷って交番に保護されることが数回あった。心配になった妻に伴われて外来を受診し、アルツハイマー型痴呆と診断された。妻は右膝の関節炎の治療中であるが、できる限り夫と自宅で暮らしたいと希望している。

午後問題13 現在の痴呆の状態を知るうえで優先度の高い情報はどれか。
1.日常生活行動の自立度
2.趣 味
3.家族歴
4.交友関係

午後問題14 夫の徘徊を心配する妻への助言として適切なのはどれか。
a.無断で外出しないよう夫に繰り返し話す。
b.衣類に連絡先を記した布を縫いつける。
c.近所の交番に事情を説明し協力を求める。
d.夫の気のすむまで外出に付き添う。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題15 外来受診時、痴呆の進行に対して妻が強い不安を訴えた。援助として適切でないのはどれか。
1.時には娘達に応援を求めるよう勧める。
2.デイケアのプログラムを紹介する。
3.痴呆症に対する記憶テストの方法を指導する。
4.夫が興味を持てそうな活動を探す。

状況ライン

次の文を読み午後問題16~18に答えよ。
72歳の女性。息子夫婦と暮らしている。1年前に脳梗塞で倒れ左不全麻痺が残り寝たり起きたりの生活であったが、服薬は自分で管理できていた。11月15日に風邪気味で寝込んでいたが、4日後に症状が悪化して入院した。体温38.0℃。脈拍数124/分、整。呼吸数30/分。血圧80/64mmHg。名前を呼ぶと開眼するがすぐ眠ってしまう。皮膚の乾燥がみられ、朝から排尿がない。白血球12,000/mm3、Ht56%、血清総蛋白7.0g/dl、CRP6.8mg/dl。動脈血酸素分圧(PaO2)50mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)60mmHg。胸部エックス線撮影で肺炎と診断された。息子は早朝から夜遅くまで働きに出ており、息子の妻は近所のスーパーマーケットにパートタイムで勤めている。

午後問題16 入院時の所見で正しいのはどれか。
a.意識レベル(3―3―9度方式)200
b.呼吸不全
c.脱 水
d.低栄養
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題17 直ちに行う必要のない処置はどれか。
1.気管内挿管
2.除細動電気ショック
3.中心静脈カテーテル挿入
4.膀胱留置カテーテル挿入

午後問題18 その後、今回の入院前の状態にまで回復した。正月前に退院の予定である。全粥・きざみ食を摂取しているが、むせることが度々ある。
退院指導で適切なのはどれか。
a.雑煮は柔らかくして食べることを勧める。
b.服薬管理は息子の妻が行う。
c.腹部圧迫法(ハイムリック法)を指導する。
d.デイサービスを紹介する。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

状況ライン

次の文を読み午後問題19~21に答えよ。
44歳の女性。夫と死別し20歳の長女と17歳の長男との3人暮らしである。3か月前から食後に腹痛があり、体重は6kg減少した。5日前から頻繁に嘔吐があり受診した。胃内視鏡検査の結果、幽門部にボルマン4型の胃癌があり胃体部まで浸潤しているが手術の適応であると言われ入院した。身長160cm、体重52kg。「今は子どもが受験なので入院どころじゃない。早く退院して子ども達の面倒をみてやりたい」と話している。

午後問題19 入院時の情報収集で優先度の低いのはどれか。
1.告知の受け止め方
2.癌になった親族の有無
3.キーパーソンの有無
4.手術体験の有無

午後問題20 リンパ節郭清術を含む胃全摘術を受けた。術後4日から排便があった。術後7日に、体温37.8℃、脈拍数90/分、腹腔ドレーンから胆汁様の排液がある。血液検査の結果、白血球15,000/mm3、Hb11.2g/dl、血清アミラーゼ値は正常。動脈血酸素分圧(PaO2)80mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)35mmHg である。
考えられる合併症はどれか。
1.腸蠕動の低下
2.無気肺
3.縫合不全
4.後出血

午後問題21 その後、1日6回の分割食を摂取するようになり、術後6週で退院の予定となった。
食事指導で適切でないのはどれか。
1.貧血の予防
2.分割食の中止
3.ダンピング症候群の予防
4.家族内での調理の役割分担

状況ライン

次の文を読み午後問題22~24に答えよ。
50歳の女性。右肺の腺癌と診断され入院した。癌病巣は限局していると説明を受け手術を勧められ右肺中葉切除術を受けた。麻酔覚醒後から創部痛を訴え、呼吸は浅表性であった。術後2日、右肺野の呼吸音は減弱し、湿性咳嗽が出現し粘稠痰が少量ずつ喀出されていた。胸腔ドレーンからの排液は100ml/日で、水封瓶には気泡が多量に発生していた。ドレーン挿入部周囲の皮膚の腫脹がみられ圧迫すると捻髪音が認められた。支持糸がゆるみドレーンが2cmほど抜けかかっており、連結チューブが背中の下敷きになっていた。「寝返りするだけでも傷が痛い」と訴え、流動食が開始されたがほとんど口をつけていなかった。体温37.2℃。呼吸数22/分。血圧138/88mmHg。酸素吸入なしで動脈血酸素分圧(PaO2)68mmHg、動脈血炭酸ガス分圧(PaCO2)40mmHg。CRP3.0mg/dl。

午後問題22 術後2日のアセスメントで適切でないのはどれか。
1.右肺の膨張不全
2.皮下気腫
3.気道感染
4.低酸素血症

午後問題23 胸腔ドレーンの管理で適切なのはどれか。
a.ドレーンを元の位置まで挿入し固定する。
b.連結チューブのミルキングを行う。
c.連結チューブを屈曲のないよう固定する。
d.吸引圧を20cmH2O上げる。
1.a、b   2.a、d   3.b、c   4.c、d

午後問題24 術後2日の看護で適切でないのはどれか。
1.安静臥床を勧める。
2.水分摂取を勧める。
3.時間ごとに深呼吸を促す。
4.背部のタッピングを行う。

状況ライン

次の文を読み午後問題25~27に答えよ。
35歳の男性。オートバイで山をツーリング中、崖下に転落した。自力で崖を登れず、事故発生から12時間後に他の車に救助され救急病院に搬送された。右大腿骨骨幹部骨折と診断され、救急室で右大腿部の傷の洗浄と副木固定とをした後に入院した。入院後、脈拍数90/分。呼吸数14/分。体温37.2℃。血圧142/84mmHg。患側下腿外側のしびれを訴えた。患側の足背動脈の拍動は弱い。創部の腫脹が強く、著明な左右差があった。大腿部エックス線単純CT検査所見で、骨折部周辺に液体貯留像が認められた。

午後問題25 入院直後のアセスメントで適切なのはどれか。
1.出血性ショック
2.脂肪塞栓
3.骨折血腫
4.創部感染

午後問題26 翌日、大腿骨顆上部に鋼線を刺入し牽引が開始された。2日後、「じっとしているのはつらい。腰が痛い」という訴えが多くなった。
この状況の看護で適切でないのはどれか。
1.左膝を曲げて腰を浮かすよう勧める。
2.腰部に手を挿入する。
3.重錘を一旦はずし側臥位にする。
4.腰部の温罨法を行う。

午後問題27 牽引後、鋼線が抜去され、観血的治療が行われた。充分な骨癒合が認められた後に、体格に合わせて足台を用意してベッド脇に腰かけさせたところ、健側の足底は足台についたが患側はつくことができなかった。
この状態から推測できる二次的障害はどれか。
1.感覚神経麻痺
2.運動神経麻痺
3.関節拘縮
4.筋力低下

状況ライン

次の文を読み午後問題28~30に答えよ。
55歳の男性。高圧電線敷設に従事している。趣味はジョギングである。2か月前から脈が遅くなり気分不快が生じ外来を受診し、徐脈性不整脈で入院した。検査の結果、房室ブロックと診断された。入院後からアダムス‐ストークス発作が出現した。このためペースメーカーによるペーシングが必要といわれペースメーカー植え込み術を受けた。

午後問題28 房室ブロック時の心電図はどれか。

1.①
2.②
3.③
4.④

午後問題29 術後、ペーシング異常が出現した。創部の腫脹や疼痛はなかったが、頻繁に吃逆が認められた。
考えられる合併症どれか。
1.ペースメーカー植え込み部の血腫
2.逆流性食道炎
3.急性胃拡張
4.電極の横隔膜刺激

午後問題30 ペーシング異常が改善し退院が決まった。
退院指導で適切でないのはどれか。
1.脈拍測定の習慣をつける。
2.ペースメーカー手帳を常時携帯する。
3.ジョギングを制限する。
4.業務内容の変更を上司に相談する。

カテゴリー
最近の記事 おすすめ記事

記事一覧を表示するには、カスタム投稿「ブログ」にて、4つ以上記事を作成してください。

記事一覧を表示するには、カスタム投稿「ブログ」にて、4つ以上記事を作成してください。

TOP